反響・評価など
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 01:08 UTC 版)
原作者の野坂は、映画公開前年に発表した文章「アニメ恐るべし」の中で、「いわゆるアニメの手法で飢えた子供の表情を描き得るものかと、危惧していたのだが、これはまったくぼくの無知のしるし、スケッチをみて、本当におどろいた。(中略)ぼくの舌ったらずな説明を、描き手、監督の想像力が正しく補って、ただ呆然とするばかりであった」とその緻密さに驚き、場所も含めたその描写によって自分が「眼をそむけつづけてきた」過去と「今は、少し正直に向き合っている」と記している。 『となりのトトロ』のような楽しいアニメを見ようと映画館を訪れ、楽しいトトロを見た後に『火垂るの墓』を見て、衝撃を受ける、涙が止まらない、茫然自失で席から立ち上がれない観客が続出したという。そのため、「上映の順番を逆にしてくれればよかったのに」という声も少なくなかった。 舞台となった西宮市の西宮回生病院、香櫨園浜・夙川駅・夙川公園、ニテコ池(貯水池)、神戸市の御影公会堂や御影小学校、石屋川などを、モデルとなった場所を訪ねる人は絶えず、地域史研究の一環として地元の教育委員会が見学会を催すこともある。 日本で「ジブリがいっぱいCOLLECTION」シリーズとして発売されたセルビデオは、40万本を出荷した。海外でも多く視聴されており、英国の映画雑誌『エンパイア』誌が発表した「落ち込む映画ベスト10」の第6位にランクインされた。 黒澤明は『火垂るの墓』を見て感動するが、宮崎駿監督の作品と勘違いしてしまい、宮崎に賞賛の手紙を送っている。受け取った宮崎は複雑な顔をしたという。ただ、一番好きだというわけではなく、最近の作品の中ではよかったということで褒めていたのだと、娘である黒澤和子が語っている。 日本国外ではベネット・ザ・セージのオンラインレビュー を元に高畑勲の悪評も様々なサイトで事実として広められている。その内容は、高畑がバブル景気でゆたかに暮らしてる若者を憎み、反抗行為を罪悪感で捻じ伏せ年長者の言いなりにさせようと戦争時代の苦しみを見せ、全ての責任を若い主人公に被せるよう被害者の野坂昭如を唆しその物語を書換えたなど、ネガティブ・キャンペーンも含んだ個人仮説である。この他、DVDコラムニストのジョシュア・クラインは、本作を子供だけのものと思われがちなアニメを高度な芸術に仕上げた作品であると評しており、また、アニメが生身の俳優を凌ぐ場合もあることを、本作が証明しているのも述べている。 韓国では、他の多くのジブリ作品が上映済みの中、「日本は戦争加害国なのに、戦争被害者を装うための映画だ」として、反日感情の高まりとともに当初2005年の上映予定が無期限延期となり、2014年になってようやく上映された。
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