参議院で不同意
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2008年4月8日、民主党国会同意人事検討小委員会が開催され、小委員長の仙谷由人は「小委員会の意見としては、白川総裁に同意、渡辺副総裁も同意が可能というのが大勢だった」と公表した。しかし、小沢代表の強い意向を背景に、国会対策委員長の山岡賢次と参院議員会長の輿石東の2名が強硬に不同意を主張したことから、民主党役員会にて副総裁人事案への不同意が決まった。民主党幹事長の鳩山由紀夫は「努力が実らず申し訳ない思い」と謝罪した。 自由民主党幹事長の伊吹文明らは「鳩山由紀夫民主党幹事長の意見も入れて民主党内が収まることを条件にして渡辺さんを(候補に)入れた」として反発した。 2008年4月9日の参議院本会議では、渡辺の副総裁人事案に対し、自由民主党や公明党だけでなく、民主党と統一会派を構成する国民新党の全議員が賛成した。さらに、民主党からは渡辺秀央、大江康弘、藤原正司が賛成し、犬塚直史、風間直樹は棄権、桜井充、木俣佳丈は欠席するなど、造反議員が相次いだため、票差は6票差にまで迫ったものの不同意となった。2007年から2009年までのねじれ国会下の中で参議院で不同意となった人事案件の中では票差が最小となったが、民主党内では渡辺副総裁案に賛成する議員が多く出る中で、最終的に反対という方針を決定したことにおいて党内意思決定過程の問題を露呈し、3人の造反議員の招くことになった(後述)。それに対し、衆議院では渡辺の人事案は同意された。両院から同意されなかったことで、渡辺の副総裁就任は不可となった。 民主党は渡辺の副総裁就任に同意しなかった理由について、財務省からの天下りを規制するためと説明した。そのため、日本銀行出身で山形県知事を務める斎藤弘から「(道路特定財源問題に続き)『政争の具にする愚』再び、としか言いようがない」と強い口調で批判された。斎藤は、1998年の日本銀行法改正により日銀の独立性が保障されていることに触れたうえで「天下りと言うなら、日銀の上に何かがあるということになるが、何があるのか」と指摘し、「天下り規制というのは旧日銀法の考えで、おっしゃっているのでは。法律の趣旨を理解いただければ、そんな考え方はできないと思う」と述べ、財務省財務官から日本銀行副総裁への転身を天下りと規定するのは「(日銀の独立性を明確にした)日銀法の趣旨を踏みにじることになる」と指摘した。 造反した民主党議員も、渡辺秀央が「(党執行部は)組織の考え方を無視して政局絡みの判断をした」と主張し、大江康弘も「今回の(執行部の)決定はおかしい。小沢一郎代表は、非常にかたくなで、何かに固執した中で決定した」と述べ、揃って民主党執行部を批判した。造反しなかった民主党議員からも批判の声が挙がり、副代表の前原誠司は「わが党は7割5分から8割が渡辺氏でいいということだったので、不透明さが残った」と指摘している。
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