南蛮誓詞とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 学問 > 歴史民俗用語 > 南蛮誓詞の意味・解説 

南蛮誓詞

読み方:ナンバンセイシ(nanbanseishi)

江戸幕府宗門改の一。


なんばんせいし 【南蛮誓詞】


南蛮誓詞

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/11/15 17:46 UTC 版)

南蛮誓詞(なんばんせいし)は、江戸幕府キリシタン摘発のために行った宗門改の一手法であり、踏み絵による絵踏とともに摘発や寺請制度仏教寺院などの檀家となる手続きに用いられた起請文転びキリシタンが再びキリスト信仰に立ち返ることを困難にする誓約システムであった。檀家に登録されるためには南蛮誓詞のみ、または南蛮誓詞と日本誓詞への、血判と提出が必要であった。南蛮誓詞と日本誓詞を「転び証文」または「転び書物」と称する場合もある。

キリスト教禁教令豊臣秀吉の時代から何度も発布されていたが、江戸時代になってからの1635年(寛永12年)8月、徳川家光は諸大名に領民への宗門改の実施を命令した。続いて9月、京都では寺院による寺請証文の発行を偽り無く実施し、キリシタンに偽って檀家の証文を与えた場合は、キリシタンと同罪として処断されることが命令されている。この時、従来のキリシタン摘発方法に加えて南蛮誓詞が導入された。従来の日本誓詞は日本の神仏に対してキリスト教の棄教し、二度と信じないことを誓う起請文であった。しかし、日本の神仏を信仰していないキリシタンには効果が薄かった。これに対し、南蛮誓詞では、デウスサンタ・マリア、アンジョ(天使)、ベアト(聖人)などのキリシタン自身の信仰対象に対して、キリシタンの言葉を使って、もし棄教の誓いを破った場合はキリシタンの教えや言葉で罰を被ることが明記され、宣誓された[1]

南蛮誓詞は転宗者だけでなく全ての民衆に町や村単位で要求され、家毎に全構成員がキリスト教の永久的棄教を誓わされた。キリスト教を信仰すれば、キリストの神によって罰せられるという救いのない誓いは仏教徒にとって意味のないことであったが、隠れキリシタンにとっては踏み絵と並んで耐え難いトラウマを与え、転びキリシタンが再び信仰を取り戻す際に大きな精神的苦痛を与える役割を担った。[2]

脚注

  1. ^ 西勝寺文書「きりしたんころび証文」県指定有形文化財・書跡[1]
  2. ^ 『将軍権力の確立』、杣田善雄著、2011年、吉川弘文館、ISBN9784642064309

関連項目



南蛮誓詞

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/17 00:16 UTC 版)

起請文」の記事における「南蛮誓詞」の解説

詳細は「南蛮誓詞」を参照 江戸時代幕府キリスト教禁止令下で、棄教したキリシタン転びキリシタン)は、日本の神仏に対す起請文日本誓詞)だけではなくキリスト教の神(デウス)や天使聖人に対して棄教することを誓う起請文(南蛮誓詞)にも血判させられた(むしろ日本誓詞用いられないこともあり、南蛮誓詞が主だった)。 棄教意思確認させる物として有名な物に踏み絵があるが、実際にはこれらの誓詞の方が重要で、幕末から明治初期起こった浦上四番崩れでも、踏み絵一切用いられず南蛮誓詞に血判させている。

※この「南蛮誓詞」の解説は、「起請文」の解説の一部です。
「南蛮誓詞」を含む「起請文」の記事については、「起請文」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「南蛮誓詞」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「南蛮誓詞」の関連用語

南蛮誓詞のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



南蛮誓詞のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
中経出版中経出版
Copyright (C) 2025 Chukei Publishing Company. All Rights Reserved.
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの南蛮誓詞 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの起請文 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS