南大門復興と仁王像の造立とは? わかりやすく解説

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南大門復興と仁王像の造立

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 09:27 UTC 版)

東大寺の仏像」の記事における「南大門復興と仁王像の造立」の解説

創建時南大門は、応和2年962年)に大風倒壊。『山槐記』に応徳元年1161年)に南大門再興企てられたとの記載があるが、実際に再興完成したかどうか定かでない治承4年1180年)の平重衡兵火では、大仏殿などが灰燼に帰したが、この時に南大門焼けたという記録はなく、治承4年時点では南大門本格的な再建はされていなかった可能性がある。治承兵火後、俊乗房重源中心になって行われた復興事業のなかで、大仏殿中門とともに南大門再建されることとなり、再建南大門現存の門)は正治元年1199年)に上棟した。仁王像の像立はその4年後の建仁3年1203年)である。『東大寺別当次第によれば仁王像制作建仁3年7月24日着工され同年10月3日開眼。高さ8メートル超える2体の木像制作はわずか69日間終わっている。同書によれば仁王像運慶備中法橋安阿弥陀仏越後法橋の4人の大仏師小仏16人を率いて制作したという。このうち安阿弥陀仏とは快慶のことであり、備中法橋越後法橋それぞれ湛慶定覚を指すとみられる湛慶運慶長男で、蓮華王院三十三間堂本尊千手観音坐像などの現存作品がある。もう一人定覚については、同人単独作った仏像現存せず、運慶らとの血縁関係有無不明である。大仏大仏殿戦国時代永禄10年1567年)の三好松永兵火再度焼けたが、この時は南大門仁王像は無事であった1988年から1993年にかけて行われた仁王像解体修理の際、像内からは経巻などの多く納入品が発見されまた、像内各所多数墨書があることがわかった。 本像には、その巨大さ以外にも、一般仁王像とは異なる点がある。日本他の寺院では、門の向かって右阿形像、左に吽形像を配するのが通例だが、東大寺南大門像では通例とは逆に向かって右吽形像、左に阿形像を配するまた、一般に仁王像正面向き、つまり、南側正面とする門であれば南向き安置するのが普通であるが、東大寺南大門像は正面向きではなく、門の中央の通路の方を向いて阿形像と吽形像が向かい合うように安置されている。本像のように、仁王像向かい合わせ安置するのは珍しいが、前例がないわけではない。たとえば、奈良・薬師寺中門二天像(現存せず)は向かい合わせ立っていたことが、発掘調査確認され礎石から判明している。阿吽配置左右逆になっている例としては、寺門安置されたものではないが、東大寺法華堂三月堂安置仁王像がある。法華堂仁王像は、向かって右吽形像、左の阿形像ともに頭部堂内中央の本尊の方へ向けており、当初からこの配置だったことが明らかである。南大門仁王像図像典拠として、京都清凉寺釈迦如来立像像内納入品であった時代版画霊山変相図」に描かれ仁王像南大門像と似ていることが指摘されている(熊田由美子の説)。この版画描かれ仁王像は、吽形像が右足先を跳ね上げている点などの細部に至るまで、図像特色南大門像と一致している。清凉寺釈迦像は、東大寺出身の僧・奝然983年渡宋、986年帰日)が、宋で作らせ、日本持ち帰った像である。版画霊山変相図」それ自体清凉寺釈迦像胎内納入されていて人目触れなかったものであるが、同種の版画重源が目にして、仁王像造立参考にした可能性がある。

※この「南大門復興と仁王像の造立」の解説は、「東大寺の仏像」の解説の一部です。
「南大門復興と仁王像の造立」を含む「東大寺の仏像」の記事については、「東大寺の仏像」の概要を参照ください。

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