南京大虐殺の描写問題
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2004年9月、第87話(42号掲載)と第88話(43号掲載)において、南京大虐殺について取り上げ、「百人斬り競争」や、逃げ惑う一般市民を機関銃掃射する場面を描写。43号には参考文献を列挙した。これに対し、資料として取り上げられた写真の矛盾点を修正して描いたとして、一部の読者や学者、右翼団体、保守政治家から捏造であるとの抗議を受け、ネット掲示板、ブログなどでも非難の声が多数上がった。 一部地方議会議員のグループは、集英社と本宮に対し抗議をおこなった。集英社は10月8日、「不適切と指摘された個所は検討を重ね、適切な処置と読者への経過説明をする」とコメントした。10月13日には「描写の参考にした写真は『ねつ造された』との指摘もある。そういう資料を使ったのは不適切だった」として、『国が燃える』の休載を発表した。 『国が燃える』は、48号より52号まで休載となったのちに連載再開されたものの、休載直前から駆け足の展開となり、翌年1月には終了した。2004年11月11日、本誌上にて問題のシーンを含む二話(計21ページ)はコミックス版では削除されると発表、2006年10月19日に該当部分未収録の単行本9巻(最終巻)が発行された。 ここで問題の一つとして取り上げられた「修正された矛盾点」とは、所謂南京大虐殺について懐疑的な人々から、その矛盾を理由に「虐殺の存在や、日本軍が関与している証拠にはならない」と指摘されている部分を、矛盾が無いように加筆修正しているとされる点である。具体例としては 資料写真では膝から足首へとゲートルが巻かれていたのを、作中では足首から膝へとゲートルを巻いた様に修正して描写した。 女性の衣服を脱がし記念撮影を行ったとされる写真で、実際の写真にはない日本軍の制帽・肩章を追加している。さらに背景にある第三者の腕も削除している。 ナレーションに田所耕三の、現在は虚偽であるとされている証言を使用している。ちなみに『国が燃える』の中では、田所耕三の証言をさらに改竄しているとの指摘もある。 など多数が指摘されている。 詳細は「南京事件論争」を参照 この件に関して、2004年11月1日に出版流通対策協議会は毅然たる対応で出版するように全出版社に呼びかけた。また同年12月16日、日本ジャーナリスト会議が南京大虐殺の研究者を招いて講義を行い、「『国が燃える』の本質をつかみ、確信をもつことが重要」と主張した。
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