北の国から '87初恋
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/20 02:32 UTC 版)
「北の国から」の記事における「北の国から '87初恋」の解説
中学三年生になった純は機械いじりが好きで「ペンチ」というあだ名で呼ばれていた。ある日、純は朽ちた風力発電機の前を通りかかり、そこで出会った大里れいに一目惚れする。その頃、草太は純の友人である広介の姉・アイコに会っていた。つららが結婚し、幸せに暮らしていることを聞き、安堵する草太。翌日、純は風力発電のことで電気屋・シンジュクを訪ねていた。その帰り、純とれいは偶然再会するが急な雨に降られ、平原に立つ大里家の納屋へ逃げ込む。濡れた服を脱ぎ、乾かしながられいと交わした会話の中で、純は東京の定時制高校進学という選択肢を知る。やがて大里家に出入りするようになった純は、れいの父・政吉の計らいで、風力発電機の修理に取り組み始め……。そんなある日、大雨で純の友人・チンタの家の畑が大きな被害を受ける。政吉は「化学肥料に頼ったからだ」と冷たく突き放し、純も同調する。そんな純に対し、五郎はつい、れいとの関係を咎めるような物言いをするのだった。純は、父に黙って少しずつ巣立ちの意志を固めていく。ところが五郎は純と東京の雪子の間で交わされた手紙を見つけ、純の気持ちを知ってしまう。そして五郎の誕生日、純はついに完成させた風力発電を披露する。草太やアイコたちも駆けつけている中、しかし五郎は自分に何の相談もしなかった純に「俺はそんなに頼りにならないか」と激しい感情をぶつける。思わず家を飛び出す純。追ってきた草太は「男は見栄で生きてるもんだ」と諭し、純も父に詫びるのだった。その夜、麓郷に霜が降りる。対策に追われる大里一家だが、政吉は誤って妻をコンテナの下敷きにしてしまい……。これが、秋の出来事だった。 冬。久々に再会した純とれいは「クリスマス、24日の晩、あの納屋で会おう」と約束する。さらに「卒業式が終わったら、札幌で見つけた天窓のある喫茶店に行こう」と。ところがその日、大里家は人知れず、町を去っていた。思い出の納屋へ向かった純が見つけたのは、一通の手紙と、カセットプレイヤーだった。再生ボタンを押すと、二人の思い出の曲、尾崎豊の「I LOVE YOU」が流れる。帰ろうとする純は、足跡に気付いた。愛おしそうに納屋を一度振り返った、れいの足跡。立ち尽くす純は東京へ行く意義を見失いかけていた。そんな純を一喝したのは迎えにきた螢だった。しかし螢はその後、優しく純の頭の雪を払う。家で待っていた五郎も不器用ながら、巣立とうとする純を応援するのだった。いよいよ出発の日。頼んでいた東京への長距離トラックがやって来る。父は息子の手をしっかりと握る。妹は兄の手を優しく握った。トラックの助手席に乗り込んだ純は、ヘッドホンで音楽を聞き始める。れいのことばかりが思い出されていた。と、不意にその回想が妨げられる。運転手の男が顎で差した先に、封筒があった。「しまっとけ」と男は言う。「 ピン札に泥がついてる。オマエの親父の手に付いていた泥だろう。おら受け取れん。お前の宝にしろ」。一万円札の泥に蘇る開拓の記憶。幼い日の思い出。純の目から大粒の涙がこぼれ落ちる。トラックは、雪残る北海道を、東京へとひた走る――。
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