労働災害防止計画
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/04 23:51 UTC 版)
厚生労働大臣は、労働政策審議会の意見をきいて、労働災害の防止のための主要な対策に関する事項その他労働災害の防止に関し重要な事項を定めた計画(労働災害防止計画)を策定しなければならず(第6条)、策定したとき、変更したときは遅滞なく、これを公表しなければならない(第8条)。厚生労働大臣は、労働災害の発生状況、労働災害の防止に関する対策の効果等を考慮して必要があると認めるときは、労働政策審議会の意見をきいて、労働災害防止計画を変更しなければならない(第7条)。厚生労働大臣は、労働災害防止計画の的確かつ円滑な実施のため必要があると認めるときは、事業者、事業者の団体その他の関係者に対し、労働災害の防止に関する事項について必要な勧告又は要請をすることができる(第9条)。 現在、2018年(平成30年)4月からの5年間を計画期間とする「第13次労働災害防止計画」の期間中であり、「一人の被災者も出さないという基本理念の下、働く方々の一人一人がより良い将来の展望を持ち得るような社会」を目指し、以下の目標を掲げて各種取組が進んでいる。 死亡災害については、死亡者数を2017年と比較して、2022年までに15%以上減少 死傷災害(休業4日以上の労働災害)については、死傷者数の増加が著しい業種、事故の型に着目した対策を講じることにより、死傷者数を2017年と比較して、2022年までに5%以上減少 重点とする業種の目標建設業、製造業及び林業については、死亡者数を2017年と比較して、2022年までに15%以上減少 陸上貨物運送事業、小売業、社会福祉施設及び飲食店については、死傷者数を2017年と比較して、2022年までに死傷年千人率で5%以上減少 上記以外の目標仕事上の不安、悩み又はストレスについて、職場に事業場外資源を含めた相談先がある労働者の割合を90%以上 メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業場の割合を80%以上 ストレスチェック結果を集団分析し、その結果を活用した事業場の割合を60%以上 化学品の分類及び表示に関する世界調和システム(GHS)による分類の結果、危険性又は有害性等を有するとされる全ての化学物質について、ラベル表示と安全データシート(SDS)の交付を行っている化学物質譲渡・提供者の割合を80%以上 第三次産業及び陸上貨物運送事業の腰痛による死傷者数を2017年と比較して、2022年までに死傷年千人率で5%以上減少 職場での熱中症による死亡者数を2013年から2017年までの5年間と比較して、2018年から2022年までの5年間で5%以上減少 労働災害防止計画は、1958年(昭和33年)に閣議決定された「第一次産業災害防止五カ年計画」を嚆矢とし、1964年(昭和39年)の労働災害防止団体法によって法定化されたものを労働安全衛生法の制定に際し取り込んだ。この制度は、労働災害の防止の徹底を期するためには、個別の事業者のみでなく、政府、事業者の団体など関係者が打って一丸となって対策を総合的かつ計画的に実施することが効果的であると考えられるところから、政府における労働災害防止の主管大臣である厚生労働大臣が、労働災害防止についての総合的な計画を中長期的な展望に立って策定し、この計画にのっとって、自らも具体的な施策を講ずるとともに、事業者、事業者の団体等の関係者に労働災害防止に関する指針を示し、その自主的活動を促進しようとするものである。
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