労働日の制限
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/03 07:05 UTC 版)
「第一インターナショナル綱領」の記事における「労働日の制限」の解説
労働時間の制限は、労働者の生活状態を決めるうえで非常に重要な問題であった。 ブリテンのような先進国に限らず工業化の過程にある国では、日の出から日没までの労働と合間の休息という前近代的な労働時間管理がいつまでも存続していた。農村で田畑を耕し、鍛冶場で精錬に従事するのも農民や職人の世界は労働の独立が保障された世界であるが、工場や事務所、店舗、邸宅など働く労働者は労働時間を使用者から管理される状況にあった。当然、人間生活の最低限度を保証するかしないかは貴族、資本家の恣意に委ねられ、この不平等な関係が労働者の人生の現実であった。 すでにブリテンでは1847年の工場法(英語版)の通過成立により、労働時間が十時間に制限されていたが、それでも建築業や機械工など職種によってはまだまだ重労働であった。労働者は絶え間ない闘争によって労働時間の短縮を部分的ではあるが達成していたものの、それは個々の職種における業界ルールに留まるもので法的拘束力などない代物であった。しかし、アメリカの労働者は八時間労働の法制化獲得を要求しており、全世界がその考えに感銘を受けていた。 IWAは「労働日の制限は…先決条件である。労働者階級の…健康と体力を回復するためにも、またこの労働者階級に知的発達をとげ、社交や社会的・政治的活動に携わる可能性を保証するためにもぜひとも必要である」と時短運動の重要性を主張して、生活の質が向上していく道を確保して、次のステップを踏んでいくべきだと述べた。「方向としては夜間労働の完全な廃止を目指さなければならない」、「女子については夜間労働はいっさい厳重に禁止しなければならないし、また両性関係の礼儀を傷つけたり、女性の身体に有害な作用やその他の有害な影響を及ぼすような作業も、いっさい厳重に禁止されなければならない」と指摘して、健康を害し生活を破壊するきつい夜業の禁止、結婚前に重労働で命を落とすような女子労働が根絶されるように工場労働の抜本的改善が必要だと訴えた。 「フェミニズム」、「働く女性」、および「八時間労働制」も参照
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