労働時間の通算
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/01 23:47 UTC 版)
「事業場を異にする場合」には、事業主を異にする場合も含む(昭和23年5月14日基発769号)。たとえば事業主Aのもとで8時間労働し、その後に事業主Bに雇われて労働に従事する場合、Bは三六協定等、時間外労働に係る所定の手続きが必要である(昭和23年10月14日基収2117号)。派遣労働者が一定期間内に相前後して複数の事業場に派遣された場合、労働時間の規定の適用については、それぞれの派遣先の事業場において労働した時間を通算する(昭和61年6月6日基発333号)。 労働者が、事業主を異にする複数の事業場において、「労働基準法に定められた労働時間規制が適用される労働者」に該当する場合に、第38条1項の規定により、それらの複数の事業場における労働時間が通算されること。なお、次のいずれかに該当する場合は、その時間は通算されないこと(令和2年9月1日基発0901第3号)。 法が適用されない場合(例:フリーランス、独立、起業、共同経営、アドバイザー、コンサルタント、顧問、理事、監事等) 法は適用されるが労働時間規制が適用されない場合(第41条及び第41条の2)(例:農業・畜産業・養蚕業・水産業、管理監督者・機密事務取扱者、監視・断続的労働者、高度プロフェッショナル制度) 労働時間が通算して適用される規定として、法定労働時間について、その適用において自らの事業場における労働時間及び他の使用者の事業場における労働時間が通算されること。時間外労働のうち、時間外労働と休日労働の合計で単月100時間未満、複数月平均80時間以内の要件(第36条6項2号及び3号)については、労働者個人の実労働時間に着目し、当該個人を使用する使用者を規制するものであり、その適用において自らの事業場における労働時間及び他の使用者の事業場における労働時間が通算されること。時間外労働の上限規制(第36条3項~5項及び6項(第2号及び第3号に係る部分に限る。))が適用除外(第36条11項)又は適用猶予(第139条2項、第140条2項、第141条4項又は第142条)される業務・事業についても、法定労働時間についてはその適用において自らの事業場における労働時間及び他の使用者の事業場における労働時間が通算されること(令和2年9月1日基発0901第3号)。 通算されない規定として、時間外労働のうち、三六協定により延長できる時間の限度時間(第36条4項)、三六協定に特別条項を設ける場合の1年についての延長時間の上限(第36条5項)については、個々の事業場における三六協定の内容を規制するものであり、それぞれの事業場における延長時間を定めることとなること。また、三六協定において定める延長時間が事業場ごとの時間で定められていることから、それぞれの事業場における時間外労働が36協定に定めた延長時間の範囲内であるか否かについては、自らの事業場における労働時間と他の使用者の事業場における労働時間とは通算されないこと。休憩、休日、年次有給休暇については、労働時間に関する規定ではなく、その適用において自らの事業場における労働時間及び他の使用者の事業場における労働時間は通算されないこと(令和2年9月1日基発0901第3号)。 使用者は、労働者からの申告等により、副業・兼業の有無・内容を確認すること。その方法としては、就業規則、労働契約等に副業・兼業に関する届出制を定め、既に雇い入れている労働者が新たに副業・兼業を開始する場合の届出や、新たに労働者を雇い入れる際の労働者からの副業・兼業についての届出に基づくこと等が考えられること。使用者は、副業・兼業に伴う労務管理を適切に行うため、届出制など副業・兼業の有無・内容を確認するための仕組みを設けておくことが望ましいこと(令和2年9月1日基発0901第3号)。 「副業#副業と法制度」も参照 副業・兼業を行う労働者を使用する全ての使用者(上記、労働時間が通算されない場合として掲げられている業務等に係るものを除く。)は、第38条1項の規定により、それぞれ、自らの事業場における労働時間と他の使用者の事業場における労働時間とを通算して管理する必要があること。労働時間の通算は、自らの事業場における労働時間と労働者からの申告等により把握した他の使用者の事業場における労働時間とを通算することによって行うこと。労働者からの申告等がなかった場合には労働時間の通算は要せず、また、労働者からの申告等により把握した他の使用者の事業場における労働時間が事実と異なっていた場合でも労働者からの申告等により把握した労働時間によって通算していれば足りること。労働時間の通算は、自らの事業場における労働時間制度を基に、労働者からの申告等により把握した他の使用者の事業場における労働時間と通算することによって行うこと。週の労働時間の起算日又は月の労働時間の起算日が、自らの事業場と他の使用者の事業場とで異なる場合についても、自らの事業場の労働時間制度における起算日を基に、そこから起算した各期間における労働時間を通算すること。自らの事業場における労働時間と他の使用者の事業場における労働時間とを通算して、自らの事業場の労働時間制度における法定労働時間を超える部分が、時間外労働となること(令和2年9月1日基発0901第3号)。
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