労働の廃止 - The Abolition of Work
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/20 05:09 UTC 版)
「労働拒否権」の記事における「労働の廃止 - The Abolition of Work」の解説
The Abolition of Work はシャルル・フーリエ、ウィリアム・モリス、ヘルベルト・マルクーゼ、ポール・グッドマン、マーシャル・サーリンズらの思想を下敷きに書かれたボブ・ブラック(Bob Black)の著作である。その中で彼は生産-消費社会の廃止を訴えている。そこで力説されているのは、生活の全てが生産と消費に捧げられていると言う点である。マルクス的社会主義国家も市場資本主義と同様に攻撃されており、人間が自由になる唯一の方法は、仕事と雇用から時間を取り戻そうとするのではなく、必要最低限の仕事を自由意志に基づくフリープレイへと転換することであるとしている(このアプローチを”Ludic”と呼称)。 この論文では以下のように書いている。”働かなくてはいけない者などいない”、なぜなら仕事-政治的もしくは経済的理由によって執行される強制生産活動としての意味での-はこの世界における悲劇の主要な源泉であるから。ブラックは仕事を、その強制性、面白いはずのタスクを上司への従属を通して”job”という無意味な雑用へと化す形態、業務規則システムによって埋め込まれたその劣等化、そして膨大な数に上る仕事に関係する死亡や負傷(ブラックはこれらを”殺人”に分類する)。 彼は仕事の場で採用されている従属を”a mockery of freedom(自由の愚弄)”と見、雑用における自由を見出す理論家達を偽善であると弾劾する。仕事に従属は、人を愚かにし、自由に対する恐怖を作り出す。なぜなら仕事によって人々は規則性と硬直性に馴致され、交友や有意義な活動に使う時間が無くなっていく。彼によれば、ほとんどの労働者は仕事に不満を抱いているため、議論の余地は無いはずであるが、人々の労働システムに対する距離は、欠陥を視認するには余りにも近すぎるため、論争が起こりうる。 プレイ(Play)は(上述の仕事)に対して、贈与経済として完全な自由の元、自由意志によってなされ、規則で統治する必要な無い。彼は狩猟採集の社会がプレイ型に分類されると指摘する。この視点はサーリンズの考えを援用したものである。サーリンズは仕事の不可避駆動性(cumulatively)という面から階層社会の興隆を詳述し、であるから今日の仕事の強制性(cumpulsive)は古代及び中世の農奴のそれから見ても不可解なまでに過酷であるとする。彼はこの考えに、”仕事”、単に精力によるとしないのであれば、不愉快なものではなく、重要なものが必要とされる。これによってまずは、最も重要な仕事はludicとして表される、またはgame-like, craft-like な活動として”救出”される。次に、大部分の仕事はする必要がなくなる。なぜなら後者のタスクは社会管理や商業という機能を担うことで、一つの全体としての労働システムを維持するためにのみ存在するのだから。そうして残ったものに、彼はCharles Fourierのarranging activity を持ち出す。よって人々はそれらに能動的にかかわる。彼はまた労働救済テクノロジーを通した仕事の除去については、懐疑的ではあるが寛容に見ている。
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