公共事業費・公的固定資本形成の動向
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「公共事業」の記事における「公共事業費・公的固定資本形成の動向」の解説
第二次世界大戦中は、決戦非常措置要綱に基づき1944年度から原則、公共土木事業が中断されることとなった。戦後の日本国政府によるインフラストラクチャー整備は、敗戦で焦土となったこともあり日本を復興させるのに不可欠であった。 日本政府の一般歳出の公共事業関係費をみると、高度成長期には他の項目同様、名目数値ながらに年率10%以上のペースで増加を示した。バブル崩壊後の1992年8月、総合経済対策以降の9年間の総事業費は106兆円に達し、内訳で公共事業費は59.8兆円に上った。1993年には、以前は30兆円台前半であった公共投資は40兆円台となり、対GDP比で7%前半台から8%台に上昇した。 GDP比率で日本の公的固定資本形成では、円高不況後の1978年から1979年まで(公共投資景気)とバブル崩壊後の1993年から1997年まで(カンフル景気または、さざなみ景気)、金融危機後の1999年(ITバブル)が6%台と高い数値であった。 1990年代は、1995年度と1996年度など景気拡張期(カンフル景気または、さざなみ景気)に入っても公共投資は増加している。 日本の公共投資対GDP比は1980年には10%ほどであったが、1997年に橋本政権の緊縮財政の影響で急減した。 バブル期には8兆円程度の水準だった公共事業関係費は、1998年のピーク時には14.9兆円に達し、対GDP比率で日本の公的固定資本形成は1990年代のピーク時に6.6%となり、欧米主要国の約2倍の水準となった。 2002年度(平成14年度)からは、改革を掲げた小泉内閣の一連の施策により、公共事業関係費は毎年減少を続けた。政府が2006年7月に閣議決定した「骨太の方針2006」に盛り込んだ歳出入改革案においても、今後5年間で1-3%ずつ削減していく方針が明記されていた。公的固定資本形成は、2001年度には32兆円であったが、2006年度には22兆円と5年間で10兆円削減された。 2000年以降は自民・民主両党の政権下で公共事業の削減が行われた結果、2010年には、公的固定資本形成の対GDP比は3.2%(ドイツ1.6%、イギリス2.5%、アメリカ2.5%、フランス3.1%)と、ほぼ半分になった。先進国の中で、アメリカと並んで政府支出の対GDPは小さくなった(2010年時点)。 2014年9月17日、国土交通省が発表した7月の建設総合統計によると、「未消化工事」は16兆7333億円と過去最高となり、統計を取り始めた2009年1月以来、最も多くなった。
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