偽名での活動の証拠
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/03 17:40 UTC 版)
「ボグダノフ事件」の記事における「偽名での活動の証拠」の解説
何ヶ月もの間、ボグダノフ兄弟によって作られた "International Institute of Mathematical Physics"(国際数理物理研究所)のドメイン名 th-phys.edu.hk が、フォーラム参加者の間で香港大学または香港科技大学と関係がありうるという誤った示唆を引き起こした。 誰なのか分からない「ヤン教授」という人物の関与が更なる混乱を招いた。th-phys.edu.hk ドメインの電子メールアドレスを用いて、この名義での個人的な文書がボグダノフ兄弟の論文を擁護するために多数の個人宛てあるいはインターネット上に書かれた。この人物による文書は、物理学者 John Baez、Jacques Distler、Peter Woit や『ニューヨーク・タイムズ』紙のジャーナリスト Dennis Overbye や、数多くの物理に関するブログやフォーラムに対して、"Professor L. Yang—Theoretical Physics Laboratory, International Institute of Mathematical Physics—HKU/Clear Water Bay, Kowloon, Hong Kong."(香港 九龍 清水湾/香港大学 国際数理物理研究所 理論物理研究室 L. ヤン教授)という署名付きで書かれた。しかし、実際には清水湾(en)にあるのは香港科技大学であって香港大学ではない。香港大学のメインキャンパスは香港島の半山区にある。 ボグダノフ兄弟は「ドメイン名 th-phys.edu.hk は香港大学が公式に所有していた」と何度か主張している。これは香港大学に公式に肯定されておらず、ヤン教授という人物は香港大学物理学科の名簿上には存在しない。ややこしいことに、th-phys.edu.hk のDNS登録は香港大学ではなく香港科技大学(清水湾)の番地で記されている。さらに、そのドメインはイゴール・ボグダノフによって登録されており、ヤン教授からの電子メールはフランスのパリでダイアルアップ接続のIPアドレスから送信されていた。th-phys.edu.hk の登録は更新されないままになっている。 ヤン教授が実はボグダノフ兄弟の偽名なのではないかという疑いはずっと持たれていた。しかし、イゴール・ボグダノフはヤン教授がKMS理論の専門知識を持った実在の数理物理学者で友人であり、イゴールのアパートから匿名で投稿しているのだ、と主張しつづけた。これまでのところ、はっきりと自分が「ヤン教授」だと示し学位や研究所との関係を証明しようと名乗り出た人物はおらず、検証用に「ヤン教授」の記録がある出版物が提出されたこともない。 このパターンに続いて、別の学術向けドメイン名がラトビアで登録された(https://web.archive.org/web/20060407175445/http://www.phys-maths.edu.lv/ )。こちらは "Mathematical Center of Riemannian Cosmology"(リーマン宇宙論数学センター)をホスティングしていた。今度も、この明らかに教育関連の施設はイゴール・ボグダノフによって登録されていた。イゴールは、なぜセンターのウェブサイトがラトビアのトップレベルドメインにあるのかを訊かれた際、リガ大学によって組織されホスティングされているからで、兄弟が2001年か2002年にリガでの学会に参加した後からだ、と主張した。この主張は疑念を持って受け止められ、大学側からも肯定されなかった。
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