保革対立による国定廃止と推進
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/15 01:41 UTC 版)
「国定教科書」の記事における「保革対立による国定廃止と推進」の解説
韓国では初等学校のすべての教科、中学校の国語・国史・道徳及び高等学校の国語・国史で国定教科書が使用されている。高等学校の韓国近現代史については検定済教科用図書が使用されている。 盧武鉉政権が2007年に国定制度の廃止を決定し、2010年度から中学校と高等学校では国定教科書は使用されなくなった。 「朝鮮の歴史観」および「韓国の民族主義」を参照 2008年には、韓国でのこれまでの歴史教科書は民族主義的で左翼的な反政府運動が中心に描かれ、実際の多様な韓国史を反映していない「単純で偏狭な」史観であったと批判して、日本統治時代には抗日独立運動だけでなく、経済発展や近代化など肯定的な面や、また、戦後韓国でも北朝鮮の侵略から国を守った李承晩大統領、高度経済成長を実現した朴正煕大統領の時代を高く評価し、韓国の発展の明るい面を記述した「新しい歴史教科書」が登場した。この教科書は李栄薫ソウル大学名誉教授らニューライトによる研究組織「教科書フォーラム」が編纂したもので、高校の選択科目「韓国近現代史」で使用される予定のものであったが、実際に使用されるには政府検定が必要である。 韓国では、高校選択科目「韓国近現代史」以外に、中学高校向けの国定教科書「国史」があった。 しかし、ニューライトと強い繋がりを持つ朴槿恵政権になってから、「北朝鮮に同調するような内容で偏向しているものが多い(韓国教育部)」、「歴史を正しく学ばなければ魂が正常でなくなり、文化的にも歴史的にも他国に支配されるかもしれない(朴槿恵大統領、2015年11月の国務会議での発言)」などの理由から再国定化を目指す動きが起こり、革新派は維新時代へ逆行する歴史教科書国定化であると批判している。 その後、2015年10月12日、韓国政府は韓国史の教科書を再び国定化することを発表した。2016年に内容を公表し、1948年8月15日を検定教科書で占める「大韓民国政府樹立」ではなく、「大韓民国樹立」とした。北朝鮮については、世襲体制や核開発などの実態、2008年に金剛山観光に訪れていた韓国人観光客が北朝鮮兵に射殺された韓国人観光客射殺事件、北朝鮮による魚雷攻撃を受け、40人が死亡、6人が行方不明と記した韓国海軍哨戒艦天安撃沈事件、2010年の延坪島砲撃事件など北朝鮮の体制批判内容は記述量でも現行教科書の倍以上に増え、記述も具体的とした。新しい国定教科書は2017年の入学生から使用される予定であった。しかし、実際に採用した学校はほとんどなく、さらに2017年の政権交代によって誕生した文在寅大統領は、選挙中の公約であった国定教科書廃止、検定制度の復活を指示したため、国定教科書が日の目を見ることはなかった。 詳細は「歴史教科書問題#韓国の歴史教科書問題」を参照
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