佐保一族(さほいちぞく)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/11 15:07 UTC 版)
「銀の海 金の大地」の記事における「佐保一族(さほいちぞく)」の解説
大和の春日野を拠点とする、土着の豪族。大和でも一、二の豊かで、ひろい領土をもち、春日の神と早穂(さほ)の神を祀っている。男も女も美しい姿をしている者が多いが、他族との交流を避け、同族としか結婚しない。古いヤマトの神々の守りを受けた一族で、霊力のある巫女や巫王(ふおう)が多く生まれるといわれている。 大闇見戸売(おおくらみとめ) 42歳になる佐保一族の女首長(めおびと)。御影の双子の妹。大とは尊敬をあらわす言葉、闇見とは、闇を見る霊力(予言や予知のこと)、戸売とは身分の高い女性の呼び方で、「大闇見戸売」とは「大いなる霊力を宿した尊い一族の姫」という意味の名。26歳と28歳のときに和邇の首長・日子坐に陵辱され、佐保彦と佐保姫を生んだ。すさまじい霊力を身に宿す巫女姫だったが、他族の男である日子坐の子を身ごもったために、霊力をほとんどなくしてしまう。御影を利用して自分を襲った日子坐を憎み、その日子坐の子である佐保彦と佐保姫を疎んじている。双子の姉である御影を深く愛し、幼い頃から身を尽くして御影を守ってきた。一族に殺されそうになり、そのまま姿を消した御影を案じている。 佐保彦(さほひこ) 大闇見戸売と日子坐の間に生まれた、佐保一族の王子。16歳。「10年のときを遡り、16歳の真澄と出会っているかのように」真澄とよく似た容貌をしている。年齢の割に幼く、激情的な面もあるが、本来はやさしい心根の持ち主。大闇見戸売が日子坐に陵辱されたときに身ごもった子で、そのため生まれたときから母に疎まれている。その寂しさを、同じ境遇の妹姫を溺愛することで癒してきた。日子坐が率いる和邇一族と、日子坐に協力した御影母子を激しく憎んでいる。その憎しみと、自分と妹が「佐保を永遠に生かす」と予言された身であることが、長い間心の支えだった。御影の娘である真秀が、愛する妹とうりふたつであることに激しく動揺する。 佐保姫(さほひめ) 大闇見戸売と日子坐の間に生まれた、佐保一族の姫。佐保彦の妹。14歳。真秀とは双子の姉妹のように、よく似た容貌をしている。生まれたときから母に疎まれ、それゆえに兄と族人(うからびと)の愛情を一身にあびて育ってきた。心やさしく穏やかな性格だが、時に自分の信じたことを貫こうとする芯の強さや強情さをのぞかせる。佐保一族の、御影母子への処遇に心を痛めており、なんとか力になりたいと願っている。特に真秀に対しては、姉のようにも妹のようにも慕わしい気持ちを抱いている。 加津戸売(かつとめ) 先代の佐保の巫女姫。御影と大闇見戸売の母。故人。同母兄である意沙穂の王子と恋に落ち、双子の姉妹を身ごもる。禁忌をやぶった恋のはての身ごもりに怯え、生まれてくる子について予言をのこした。姉妹を出産した際に命を落とす。 意沙穂(いさほ) 加津戸売の兄。御影と大闇見戸売の父。故人。同母妹である加津戸売と恋に落ち、子を身ごもらせる。加津戸売が身ごもる以前に、異腹の姉姫と婚いし、すでに男の子(穂波の父)をもうけていた。 国毘古(くにびこ) 佐保の最長老。70歳を過ぎ、髪もひげも真っ白で、左目が潰れている。大闇見戸売の父・意沙穂の王子とは幼馴染みだった。意沙穂の道ならぬ恋を諫められなかったことを後悔している。 燿目(かがめ) 佐保の神人(かむびと)で、佐保彦の側近。22歳。すけるような白い肌に、銀とも白ともつかない髪の色、濃い赤黄色の瞳をしている。視力はほとんどない。穏やかな性格で、信頼の厚い参謀役。火を自在に操り、耳をすませば一里はなれた人の気配さえも聞き分けることができる。 速穂児(はやほこ) 佐保彦の側近。17歳。佐保彦とは同じ乳人のもとで兄弟のように育てられた。激しい気性で、佐保彦の身を守るのは自分だという強い自負を抱いている。自分の父親が、御影母子を殺そうとした際に何者かに殺されたため、御影母子を激しく憎んでいる。その憎しみは、同じく御影母子を憎む佐保彦との繋がりをいっそう強固にした。佐保姫にひそかに思いを寄せている。 穂波(ほなみ) 佐保でもっとも若い長老。25~26歳。佐保彦の又従兄で、面差しがどことなく似ている。「忌女」として近づくのを禁じられていた御影と、幼い頃ひそかに交流をあたためていた。 兄夏(えなつ) 佐保彦の側近。月眉児の異母兄。18歳。 月眉児(つきみこ) 佐保の神人。離れた場所での出来事や、他人の心を透視する能力の持ち主。また、それを元に幻影をつくりだすこともできる。兄夏の異母妹。17歳。 鳥養(とりかい) 佐保彦の側近。鳥を操ることができる。19歳。 乎知手(おちて) 佐保の神人。13歳の少年。傷や病を癒すことができる。 飛羽矢(とぶはや) 佐保の神人。空間をゆがめて、一定の距離を瞬時に移動することができる。19歳。 遠呼(とおこ) 佐保の神人。人の心に直接話しかけることができる。
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