息長一族(おきながいちぞく)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/11 15:07 UTC 版)
「銀の海 金の大地」の記事における「息長一族(おきながいちぞく)」の解説
淡海の国(おうみのくに)を拠点に勢力を持った豪族。領地内に大和一といわれる広大な湖があり、大小100以上の川が流れ込んでいる。息長の族人(うからびと)は水に親しんで育ち、泳ぎや操船術に長けている者が多い。水の中で、驚くほど息が長く続くため「息長」の名がついたとされている。強大な水軍を擁し、漁業や稲作、交易によって繁栄している。また、和邇一族(わにいちぞく)とは古くからの友族(ともがら)で、現在の首長(おびと)・真若王(まわかおう)は和邇の首長・日子坐(ひこいます)の息子である。 真秀(まほ) 「真秀の章」の主人公。息長一族が治める淡海の国、野洲の邑(やすのむら)に暮らす14歳の少女。「和邇の首長・日子坐が婢女(はしため)に生ませた娘」として息長に預けられて育った。邑びとからは「ヨソ者」として邪険にあつかわれ、真秀本人も強い疎外感を抱いている。そのぶん、家族を何よりも大切に思い、必死で守ろうとして常に気を張っている。病気で寝たきりの母と、目が見えず耳も聞こえない兄を養うために、幼少の頃から大人に混じって働いてきた。負けん気が強く、人前で弱音を口にすることのできない性格。しかし本音では自分たち母子が邑びとに受け入れられない事を非常につらく感じており、「家族の他に、たったひとりでいい。同族がほしい」と自分の同胞を強く求めている。とある出来事から、母が大和の佐保一族の出自と知り、佐保に憧憬を抱くようになる。 真澄(ますみ) 26歳になる真秀の兄。誰もが目をみひらくほどの美しい容姿の持ち主。生まれつき目が見えず、耳も聞こえない「神々の愛児(まな)」だが、不思議な霊力があり、真秀と心の声で話すことができる。霊力をもつ者は、家族と離され、巫人として戦や国の繁栄に貢献させられることが多いため、真秀は真澄の霊力が他人に知られることを極端に恐れている。 御影(みかげ) 真澄と真秀の母親。数年前から、業病に冒されて寝たきりの生活をしている。42歳。病のため、やつれてはいるが、若い頃は大変な美貌だっただろうと思わせる面影がある。「神々の愛児」で、5歳の童女と同じような知恵とことばしか持たない。子どもたちを包み込むような優しさと愛情に満ちている。ある事情により佐保一族から激しく憎まれている。 真若王(まわかおう) 息長の姫と日子坐との間に生まれた、息長一族の王子。20代なかば。現在の息長一族の首長(おびと)。情けがないわけではないが、高慢で強引なところがある。兄・美知主(みちのうし)の強い推挙によって首長となったこともあり、美知主には頭が上がらない。真秀に対して「誇り高きわが妹姫さま」などとからかうこともあるが、実際は真秀を妹と認めているわけではない。真秀のうつくしさに気づいてからは、真秀を自分のものにしたがり、何かとちょっかいをかけてくるようになる。 五百依姫(いおよりひめ) 息長の姫と日子坐との間に生まれた、息長一族の姫。美知主や真若王の妹。17歳。とりわけ御影母子に優しくするわけではないが、意地悪もせず、真秀も親しみを感じている。周囲から大切にされて育ったためか、意地悪さや邪気とは無縁の性格をしている。 御井津姫(みいつひめ) 息長の姫と日子坐との間に生まれた、息長一族の姫。美知主、真若王、五百依姫らの妹。13歳。日子坐の末娘で、うまれてすぐに母親が亡くなったため、周囲から甘やかされて育った。天真爛漫で、憎めない性格をしている。 鮒彦(ふなひこ) 野洲の邑に暮らす息長一族の男。真秀や真澄に対して意地の悪いことばかりしていたが、真秀のうつくしさに気づいてからは態度を一変させる。 阿由女(あゆめ) 野洲の邑に暮らす息長の従婢(まかたち)。20をひとつふたつ越えた年頃で、美しい容姿をしている。真澄に思いを寄せていて、真秀が忌屋にこもっているあいだ、真澄や御影の身の回りの世話をしていた。なかば強要するようにして真澄と関係を持ったために真秀の怒りを買う。 万茅穂(まちほ) 美知主が淡海領内に放っている内窺見(うちうかみ)の女首領(めのおさ)。26歳。ふだんは婢女(はしため)のふりをして、淡海領内の邑で暮らしている。顔立ちは美しいが、喉を真一文字に走る太刀傷がある。 忍人(おしひと) 息長豪族の部族のひとつ、穴太(あのう)の邑長(むらおさ)。20代なかば。穴太と野洲は湖をはさんだ隣邑である。邑びとに慕われる人格者で、真若王よりも忍人を息長の首長に押す長老も多かった。真若王とは従弟にあたる。知恵があり誠実だが、情に流されやすい部分がある。歌凝姫(うたごりひめ)に恋するあまり、息長一族を裏切って、佐保彦が歌凝姫を妻問いするのを防ごうとした。 小由流(さゆる) 忍人の異母妹。自分を奴婢の身分から引き上げて、妹としてあつかってくれた忍人をいちずに愛している。16~17歳。母親は東国(あづま)の邑長の娘だったが、戦に負けて大和の王宮に連れてこられ、その後で忍人の父親に下げわたされた。小由流とは東国のことばで小百合のこと。
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