伝説・昔話
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 06:09 UTC 版)
神話はストーリーを持つ物語の形式で、人間を取り巻く様々なものについての過去の出来事を語る。このようなモチーフは伝説や昔話でも扱われるが、これらと神話とは密接に関連するものの学問用語として明瞭に区分されている。 神話は始原的な出来事を伝えるものに対し、伝説・昔話は過去のある時点の出来事について語られる。また、単一の事象を伝える点では神話と伝説は似ており、伝説は神話同様真実を伝える物語と受け取られるが、基本的に固有名詞を持つ人物を主人公とし、その活躍した場所も限定され、時代も世界がほぼ現在のように様相が固まった後を舞台とするため歴史的記載に近く、神話のような広い対象の根源になるものではなく、神聖的性格も帯びてもいない。主人公も神話のような神や超人ではなく、あくまで人間が主役となっている。 昔話は異なる時と場所で何度か起こった出来事の典型を表す話であり、真実を表現したものではないか、もしくは神聖な物語ではないものと認識される。例えば『桃太郎』も、鬼退治はどこでも起こりうる争乱の数ある一つと捉えることが出来るため、神話とも伝説とも異なる性格を持つ。 神話・昔話・伝説の3つは伝統的な古い説話を区分する手段に用いられるが、これを物語る各文化では必ずしも厳密な線引きが出来ている訳ではない。文化圏によっては神話と伝説に明瞭な差異を持っていないところもあれば、ひとつの同じ説話についても、ある集団はそれを真実と捉えてそれゆえ神話と考え、別の集団は虚構と捉えてそれは昔話と考えるような場合もある。神話が宗教の一部に組み込まれたような状態では昔話的な特徴が強調されて、登場人物も人間の英雄や巨人や妖精などへ再解釈されてしまう。 ただし神話・昔話・伝説は伝統的な古い説話を分類するほんの一部分でしかなく、これら以外にも逸話やジョークのようなものもある。さらには古い説話そのものも民俗学の一分野でしかなく、他にも舞踊や伝統装束、音楽など多岐に渡る。
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