人民元の国際化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 06:42 UTC 版)
経済成長にともなう資源確保のために、1990年代からはアフリカ諸国との貿易が増加した。中国・アフリカ協力フォーラム(FOCAC)を3年ごとに開催し、第1回の開催地である北京では30億ドルの優遇貸付と20億ドルの輸入業者向け優遇貸付を約束した。そして重債務国と低所得国に対する債務免除として、合計190億元の債権を放棄した。以後、中国政府はアフリカ諸国の政府に貸付を行っており、貸付の内容は建設などの経済インフラであり、中国は欧米と異なり内政不干渉の援助を行うので歓迎された。中国の援助は商務部の対外援助司が担当しており、2011年の発表によれば、2009年までに2562.9億元の援助を161カ国・30機関に供与している。開発途上国向け融資は、国際復興開発銀行(IBRD)の開発途上国向け融資額を超える年もある。東南アジアにおいては、カンボジア・ラオス・ミャンマー・ベトナム(CLMV)諸国と2000年代から貿易関係強化・インフラ整備・技術支援などの協力を進めた。南寧を会場として中国ASEAN博覧会(中国語版)(CAEXPO)を開催し、貿易成約額は第1回(2004年)の10億8400万ドルから第7回(2010年)の17億1000万ドルと増加した。 世界貿易機関(WTO)加盟以降は、石油をはじめとする資源や農産物輸入のために貿易を拡大させた。走出去政策のもとで対外投資ガイドラインが作成されて投資支援策も行われた。民間による外貨の保有、グローバルな資金流入、海外への投資が増えるにつれて投機的な資金流入も起きた。投機への対策として、政府は対ドルレートを2パーセント切り上げ、ドルの単独ペッグ制から通貨バスケット制へと移行した。これを人民元改革と呼ぶ。2006年には外貨準備高が世界最高の1兆ドルとなった。貿易による人民元決済は2014年時点で輸出入の25パーセントとなり、人民元建てのオフショア人民元市場も開設された。人民元建てのオフショア市場は香港、マカオ、台北、シンガポール、ソウルなどアジア各都市のほかにオーストラリアやヨーロッパにも開設されている。
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