人民元の歴史
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/04 16:03 UTC 版)
固定相場制(1949年 - 1971年)社会主義による計画経済体制下では、海外との取引はほとんどなく、またその政策は主に国内経済を対象としていたため、固定相場制を採用していた。 通貨バスケット制(1972年 - 1980年)アメリカとの国交正常化を機に、12の通貨によるバスケット制へと移行した。これにより1974年には1ドル=3.0元を割り込むなど、歴史上で最も元高になった期間であった。 二重相場制(1981年 - 1993年)鄧小平の改革開放政策の導入以降、輸出を奨励するための獲得外貨を中央政府・地方政府・企業で分けあう外貨留保制度が1980年に実施されたのを機に、貿易外取引における公定レートと貿易取引における実勢レートが並存する事となった。 管理フロート制(1994年 - 1997年)鄧小平による南巡講話を皮切りに対中投資が活性化し、中国が関税および貿易に関する一般協定(GATT)加盟に乗り出すと、国際世論から二重レートの是正が加盟条件とされた。中国はそれに応じ、公定レートを、需給に基づいて管理された市場レートに統合する形で為替レートを一本化した。またその後の外国為替市場の発足により、管理フロート制へと移行した。 固定相場制(1997年 - 2005年)1997年7月にアジア通貨危機が発生すると、それ以降は政策的に中国人民銀行による「ドル買い元売り」介入で1ドル8.2765元前後に維持されており、表向きは前日比0.3%以内での管理変動相場制とされているものの人民元のレートは事実上の固定相場制・ドルペッグ制(連動制)となっていた。 管理フロート制・通貨バスケット制(2005年 - 2008年、2010年 - )2005年7月21日の切り上げ後は小幅な振幅ながら徐々に上昇し、2006年5月15日には12年ぶりに1ドル=8元を超えた。2007年5月21日には前日比変動幅を従前の0/3%から0.5%に拡大した。しかし、2008年9月のリーマン・ショック以降は中国当局の人民元売り介入により実質的に1ドル=6.83元に固定され、この実質的な固定相場制は2010年6月に変動相場に再移行するまで1年9カ月続いた。2012年4月16日より前日比変動幅を1.0%に、2014年3月17日より同2%に拡大した。また2015年7月24日には、貿易促進策の一環として変動幅を一段と拡大する方針が中国国務院より表明されている。
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