人民元のデジタル化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/05 21:51 UTC 版)
中国人民銀行は2014年にデジタル通貨(中央銀行デジタル通貨)の研究開発を世界で最初に開始した中央銀行の1つだった。一部商業銀行との間で実験的な取引を2016年に行い、2020年10月から中国人民銀行は初の公開実験として深圳市において抽選で選ばれた5万人を対象に1000万人民元(約1.5億円相当)のデジタル通貨を発行した。 「デジタル人民元」の発行は、流通コストを削減してマネーサプライの管理が強化され、消費行動を監視でき、金融政策と人民元の国際化にも寄与する。また、米中の金融覇権競争という面もあり、中国人民銀行は系列の金融誌で「世界的なドルの独占を打破するために、デジタル通貨を発行する最初の国になる必要がある」と主張している。2019年7月に中国人民銀行研究局局長兼貨幣金銀局局長の王信はフェイスブックの仮想通貨であるリブラは価値を裏付ける資産として米ドル、日本円、ユーロ、英ポンドをバスケットに保有するも「実質的に連動する米ドルの基軸通貨の地位を強化する」と懸念を示して中国はデジタル通貨の発行も検討していることに触れ、これに対して同年10月にフェイスブックCEOのマーク・ザッカーバーグは中国の巨大な経済圏構想である一帯一路の一部として「デジタル人民元」に言及して危機感を表明して米国が国際金融の覇権を握る上での「リブラ」の重要性をアメリカ議会で訴えた。
※この「人民元のデジタル化」の解説は、「人民元」の解説の一部です。
「人民元のデジタル化」を含む「人民元」の記事については、「人民元」の概要を参照ください。
- 人民元のデジタル化のページへのリンク