こうきょうてきれんしゅうきょく〔カウキヤウテキレンシフキヨク〕【交響的練習曲】
シューマン:交響的練習曲
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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シューマン:交響的練習曲 | Etudes symphoniques Op.13 | 作曲年: 1834-37年 出版年: 1837年 初版出版地/出版社: Haslinger |
作品解説
主題と12の変奏から成っており、練習曲というよりは全体でひとつの壮大なスケールを持つ作品。ピアノは一楽器であるにとどまらない豊かな響きを出す、というシューマンのピアノに対する思いが「交響的」という名前に表れている。この作品によって主題と変容の華麗な展開に成功し、彼の作曲語法を深めることになった。 この作曲を始めた1834年には「謝肉祭」が創作されており、標題のもとに派生する作品といったスタイルを確立した頃である。
演奏者に高い技巧を要求し、かつ単一のテーマを徐々に深め、織り成してゆく力強さがもとめられる。一方聴衆にとっては、一作品としては長大であるにもかかわらず、次々と現れる12の変奏がどんどん層を重ねていく様子に、思わず入り込んでしまう一曲。
シャミナード:交響的練習曲
交響的練習曲
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/02 16:29 UTC 版)
交響的練習曲(独:Sinfonische Etüden)作品13は、ドイツの作曲家ロベルト・シューマンが作曲したピアノのための練習曲。シューマンのピアノ曲を代表するとともに、変奏曲の傑作として広く知られている。友人だったイギリスの作曲家ウィリアム・スタンデール・ベネットに献呈されている。
この曲は、1834年から35年にかけてシューマンと交際関係にあったエルネスティーネ・フォン・フリッケンの父フリッケン男爵の「フルートとピアノのための『主題と変奏』」の旋律を主題としているが、出版に際しては『あるアマチュアの主題による』とだけ表記された。
概要
シューマンは1832年6月頃に、指を強化しようとして使用した器具のために指を痛めてしまい、治療を試みたが、11月には完治を諦めたとの手紙を母親に書いている。そして創作活動の主軸をピアノ曲から交響曲に移し、後に未完成となった「交響曲 ト短調」の作曲に力を注いだ。そしてこの年の11月にこの交響曲の第1楽章がツヴィッカウで演奏されたが、結局完成には至らなかった(ツヴィッカウ交響曲)。そして再び創作活動の主軸をピアノ曲に戻した。
1834年から1837年にかけて作曲され、1837年に「12の交響的練習曲 XII Etudes Symphoniques」として出版された際に、主題と12の練習曲(そのうち9曲は主題に基づく変奏曲で、最後の1曲「終曲」はハインリヒ・マルシュナーのオペラ「聖堂騎士とユダヤの女 Der Templer und die Jüdin」の中のロマンス「誇らしきイギリスよ、歓喜せよ Du stolzes England freue dich!」の主題を元とした変奏曲)から構成されたが、1852年の第2版では主題とは関連をもたない第3番と第9番がカットされ、「変奏曲形式による練習曲 Études en forme de variations」のタイトルが付けられた。シューマンの死後の1861年に義父のフリードリヒ・ヴィークにより出版された際には上記の二つのタイトルが併記された。そしてヨハネス・ブラームスの校訂により1890年に出版された第3版では、第1版に加えて、作曲されたものの第1版に入らなかった5曲が「遺作」として加えられた。
現在はほとんどが第1版か第3版のいずれかで演奏されているが、第3版の場合は遺作をどのように配置するかが問題となる。実際、本曲の間に配置する場合もあれば、補遺として最後に演奏する場合もある。
タイトルに「交響的」と付けられているように、オーケストラを思わせる豊かな響きと大きなスケールを持った作品である。
ピョートル・チャイコフスキーは、第11・12曲を管弦楽用に編曲している(1863-64年)[1]。
構成
主題と12の練習曲からなる(ここでは「遺作」の5曲を除く)。なお、演奏時間は約30分前後。
主題のモチーフ(C#-G#-E-C#)が、分散したり伴奏にもぐり込むなど全曲に渡って用いられている。
- Thema - Andante :嬰ハ短調(以下、特記のない限り調性は同様)
- Etüde I - Un poco più vivo (Variation I)
- Etüde II - Andante (Variation II)
- Etüde III - Vivace
- Etüde IV - Allegro marcato (Variation III)
- Etüde V - Scherzando (Variation IV)
- Etüde VI - Agitato (Variation V)
- Etüde VII - Allegro molto (Variation VI) :ホ長調
- Etüde VIII - Sempre marcatissimo (Variation VII)
- Etüde IX - Presto possibile
- Etüde X - Allegro con energia (Variation VIII)
- Etüde XI - Andante espressivo (Variation IX) :嬰ト短調
- Etüde XII (Finale) - Allegro brillante :同主長調の異名同音である変ニ長調に転じる。
遺作
以下の変奏はすべて上記の主題による変奏曲。
- Variation I - Andante, Tempo del tema
- Variation II - Meno mosso
- Variation III - Allegro
- Variation IV - Allegretto
- Variation V - Moderato :変ニ長調
外部リンク
- 交響的練習曲の楽譜 - 国際楽譜ライブラリープロジェクト
- Robert Schumann's Symphonic Etudes Analysis and description of Robert Schumann's Symphonic Etudes
- Analysis of the Etudes
固有名詞の分類
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