アベッグ変奏曲とは? わかりやすく解説

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アベッグへんそうきょく【アベッグ変奏曲】

読み方:あべっぐへんそうきょく

原題、(ドイツ)Thema und Variationen über den Namen ABEGG》シューマンピアノ曲1829年から1830年にかけて作曲シューマン初め世に発表した作品アベッグの名に基づく変奏曲


シューマン:アベッグ変奏曲

英語表記/番号出版情報
シューマン:アベッグ変奏曲Theme sur le nom d'Abegg Varie Op.1作曲年: 1829-30年  出版年1831年  初版出版地/出版社: Kistner 

作品解説

執筆者: PTNA編集部

 ロベルト・アレクサンダー・シューマンは、始めピアニスト志し、無理な練習から指を痛めて作曲専念するようになった。そのため、作曲専念してからの約10年間は専らピアノ曲作曲没頭し数々ピアノ名曲書いている。
 伯爵令嬢パウリーネ・フォン・アベッグに献呈されたこの曲は、シューマン20才の1829~30年書かれた。このアベッグという令嬢架空の人物だが、この名の綴り(ABEGG)を音名当てはめテーマ導き出すという、当時としては斬新な方法を採っている。
 全体は、主題アニマートヘ長調3/4拍子)と3つの変奏いずれもヘ長調3/4拍子)、カンタービレ変イ長調9/8拍子)、幻想曲フィナーレヘ長調6/8拍子から成るが、その随所従来常識大きく逸脱したシューマンらしいアイディア富んだ魅惑的な変奏曲である。


アベッグ変奏曲

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/03 09:24 UTC 版)

アベッグ変奏曲(―へんそうきょく、Abegg-Variation ドイツ語: Abegg-Variationen)作品1は、ロベルト・シューマンが作曲したピアノ作品である。『アベッグの名に基づく変奏曲』(Variationen über den Namen Abegg) とも称される。

概要

1830年、当時20歳のシューマンが作曲し、最初に出版された作品となったが、音楽の道を進むことに決めたばかり[1]でまだピアニストを目指していた最初期の作品でもあるため、習作と看做されることもある。1831年に出版された後、1834年に改訂版が出版された。

初版は架空の伯爵令嬢パウリーネ・フォン・アベッグ (Mademoiselle Pauline Comtesse d'Abegg) に献呈されており、タイトルの「アベッグ」は彼女の名の綴りである「A-B-E-G-G」の音形に因んでいる。この名前は、シューマンの知人であり、ある友人が想いを寄せていた女性であるメータ・アベッグ (Meta Abegg) という実在した人物がもとになっていると考えられている[2][3]。"Meta" はアナグラムで "Tema" (主題) となり[4]、単に名前を音名に変換できることがシューマンの注意を引いたのではないかとの推測もある[3]

フレデリック・ショパンの『ドン・ジョヴァンニの主題による変奏曲』やイグナーツ・モシェレスの作品に影響されて管弦楽伴奏版も試みた[1]が、結果的に独奏版として完成させた。管弦楽伴奏版は冒頭の序奏と主題提示部のみが書かれ、レフ・ヴィノクール英語版による補筆・演奏のCDがあるほか、ヨアヒム・ドラハイム英語版による補筆も録音が行われている[5]

構成

主題と4つの変奏、及び終曲から構成され、演奏時間は約7分。

主題 (アンダンティーノ・コン・アニマ ヘ長調、4分の3拍子)
ワルツ風の主題は前後2部分からなり[4]、右手のオクターブにより「A-B-E-G-G」(ハ・変ロ・ホ・ト・ト)の音形である上行動機が提示・反復された後、その逆行動機である「G-G-E-B-A」が現れる(譜例)。半音の動きは作品全体の核となる[1]
\new PianoStaff <<
\new Staff \relative c'' {\key f \major \time 3/4 \tempo "Animato" \partial 4 <a a'>4\mf( <bes bes'> <e e'> <g g'> <g g'>2->) <gis, gis'>4( <a a'> <c c'> <f f'> \cadenzaOn <f f'>2->) \stopStaff \once \override Stem.transparent = ##t 
\once \override NoteHead.stencil = #ly:text-interface::print
\once \override NoteHead.text = \markup \fontsize #5 " //" d,1 \startStaff <g' g'>4->( \cadenzaOff \override Score.BarNumber #'outside-staff-priority = ##f \override Score.BarNumber.break-visibility = ##(#f #t #f) \set Score.currentBarNumber = #17 \bar "||" <g g'>\mf <e e'> <bes bes'> \override Score.BarNumber.break-visibility = ##(#f #f #f) <a a'>2)}
\new Staff \relative c {\clef bass \key f \major r4 c8 <bes' c e> q q q q c,8 <bes' c e> q q q q f <a c f> q q q q a,[ <a' c f> q q] \stopStaff s1 \startStaff <g b f'>8[ q] c, <g' c e> q q q q cis,[ <a' e' g> q q ]}
>>
第1変奏 (ヘ長調,4分の3拍子)
速いパッセージが流れ、和声は気まぐれに移り変わる[6]
第2変奏 (ヘ長調,4分の3拍子)
シンコペーションが重用される[6]
第3変奏 (ヘ長調,4分の3拍子)
右手に活発な三連符のパッセージが現れる[6]
第4変奏 (カンタービレ,ノン・トロッポ・レント 変イ長調、8分の9拍子)
「第4変奏」と明記はされていない[6]。主題が旋律的に扱われる。
幻想的な終曲 (ヴィヴァーチェ ヘ長調、8分の6拍子)
「A-B-E-G-G」の動機を潜ませて盛り上がりを見せた後、静かな終わりとなる。

注釈

  1. ^ a b c 藤本一子『作曲家・人と作品 シューマン』音楽之友社、2008年。p. 154-155.
  2. ^ Knechtges-Obrecht, Irmgard. “Robert Schumann op. 1”. schumann-portal.de. 2022年8月3日閲覧。
  3. ^ a b Herttrich, Ernst (2004). “Preface”. Schumann: Abegg Variationen. G. Henle Verlag. pp. IV-V. https://www.henle.de/media/foreword/0087.pdf 
  4. ^ a b Marston, Nicholas. Schumann: Abegg Variationen, Davidsbündlertänze, Novelletten, Geistervariationen (PDF). Imogen Cooper. Chandos. pp. 8–9. CHAN10874。
  5. ^ Schumann, R: Piano Concertos / Introduction and Concert Allegro”. Chandos. 2022年8月3日閲覧。
  6. ^ a b c d Fukuma, Kotaro; Knowlton, Karen. Schumann: Abegg Variations, Novelletten, 3 Fantasiestücke (CD booklet) (PDF). Kotaro, Fukuma. NAXOS. 8.557668。

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