アンダンテと変奏曲ヘ短調とは? わかりやすく解説

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ハイドン:アンダンテと変奏曲 ヘ短調

英語表記/番号出版情報
ハイドン:アンダンテと変奏曲 ヘ短調Andante con variazioni f-Moll Hob.XVII:6 op.83作曲年1793年  出版年1799年  初版出版地/出版社Artaria 

作品解説

2006年12月 執筆者: 横田 敬

 1789年ハイドンは、ヴィーン貴族マリアンネ・フォン・ゲンツィンガー夫人知己を得る。ゲンツィンガー夫人ハイドン音楽信奉者で、二人手紙通じて友情育んでいった。1790年の主の死によって、エステルハージ家宮廷音楽家の職務から解放されハイドンは、ゲンツィンガー夫人中心とするヴィーン社交界迎え入れられ二人友情はより深いものとなる。

 ハイドン第1回目ロンドン旅行中にもヴィーン夫人にあてて多くの手紙を送っている。しかし、彼がヴィーン戻った翌年1793年に、ゲンツィンガー夫人36歳という若さこの世去ってしまった。この年書かれた《アンダンテと変奏曲》はこの夫人の死をきっかけ書かれた、というのが、この作品についてのもっとも有名な説である。

 作品は、アンダンテ、4分の2拍子哀愁漂うヘ短調第1主題(A)愛らしいヘ長調第2主題(B)からなる二重変奏曲曲の構成は、A-B-A’-B’-A”-B”-A-コーダとなっている。コーダ部分激しさは、確かに親愛なる人を失った悲しみほとばしり思わせる

 ハイドン作曲当時思い浮かべたであろう親愛なる人は、実はもう1人いたのではないか、という説もある。作曲と同じ年に作成されたこの作品筆写譜には、ハイドン筆跡で「敬愛するプロイアー夫人のために」と記されている。プロイアー夫人とは、モーツァルト高弟のひとり、バルバラ・フォン・プロイアーのことである。モーツァルトハイドンは、1781年モーツァルトヴィーンに居を定めて以来親密交際続け互いに大きな影響与え合っていた。しかし、ハイドン第1回目ロンドン旅行発ったその日が、彼ら二人今生の別れとなってしまったのである。そこで、その死を悼んでハイドンが、この作品モーツァルト愛弟子捧げたというのも十分にうなずけるエピソードと言えよう。

 二人敬愛する友人の死を作品の背景として考えると、死を悼む悲しみヘ短調幸せ思い出回想するヘ長調として、2つ主題がより生き生きしたもの感じられるのではないだろうか。


アンダンテと変奏曲ヘ短調

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/23 13:32 UTC 版)

アンダンテと変奏曲ヘ短調 Hob.XVII-6 フランツ・ヨーゼフ・ハイドン1793年に作曲した単一楽章のピアノ曲である。

題名

この曲の題名について、自筆原稿には「ソナタ」と書かれており[1]:212、本来はソナタの第1楽章として作曲されたと推測されている[2]。一方ウィーンの筆者譜には「小さなディヴェルティメント」(Un piccolo divertimento)とされており、デ・プロイヤー夫人(Signora De Ployer)への献辞があった[1]:212[注釈 1]。1799年にアルタリアから出版された初版にはヨゼフィーネ・フォン・ブラウン男爵夫人への献辞が印刷された[1]:212-213

作曲の経緯に関する推測

ヘ短調の主題が悲痛な響きを持つことから、この曲の作曲には、さまざまな憶測が行われている。もっとも有名な説は1793年に没したマリアンネ・フォン・ゲンツィンガー夫人の死を契機として書かれたというものである[3]

別な推測に、筆者譜にあるデ・プロイヤー夫人がモーツァルトの弟子のバルバラ・フォン・プロイヤー (Barbara Ployerであると考えられることから[1]:212、1791年のモーツァルトの死を悼んで作曲されたというものがある[3]。しかしながらヴァルター・ゼンによると、ここでいうデ・プロイヤー夫人とはバルバラではなく、ウィーンの宮廷代理人ゴットフリート・イグナーツ・フォン・プロイヤーの夫人だったアントニア・フォン・プロイヤーを指す[4]:313

曲の構成

ヘ短調(29小節)とヘ長調(20小節)の2つの主題からなる二重変奏曲。 ただし、ヘ短調・ヘ長調を独立した主題と見ず、49小節の主題部とみることもある。

2つの主題がロンド形式のように交互に変奏をくり返し、3度の変奏を終えた後にコーダに突入する。

脚注

注釈

  1. ^ 大宮が「デ・プロイヤー嬢」としているのは誤り

出典

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