アンダンテと変奏曲 (シューマン)とは? わかりやすく解説

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アンダンテと変奏曲 (シューマン)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/22 09:50 UTC 版)

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アンダンテと変奏曲(アンダンテとへんそうきょく、Andante und Variationen変ロ長調作品46は、ロベルト・シューマンが1843年に作曲した楽曲。室内楽の版と、2台ピアノの版とがある。作品番号は、厳密に言うと2台ピアノ版の方にのみ付けられている。

概要

当初、2台ピアノとチェロ2、ホルン1という編成の室内楽曲として作曲された。一旦非公式の場で試奏され、その評価を踏まえて、2台ピアノ用の曲に改訂された。改訂時、当初の室内楽版の序奏部分・間奏部分、および第10変奏を割愛した(それ以外は曲の進行は同じである)。

原曲の室内楽版では、チェロ・ホルンが含まれているにもかかわらず、ほとんどの部分はピアノ主導で曲が進行する。これは、改訂時に2台ピアノ編成に変更された背景の一つにもなっていると思われる。

作品番号が付けられたのも改訂版(2台ピアノ版)に対してである。ただし楽譜自体は、2台ピアノ版・室内楽版ともに古くから出版されている。2台ピアノ版は、この編成のためにシューマンが残した唯一の楽曲でもある。

2台ピアノ版は1843年に初演された。室内楽版は1843年に試奏された(その顛末は前記の通り)が、公式な初演については不明。

楽曲構成

ほとんどの箇所で、2台のピアノが同じ旋律を模倣し繰り返しながら進行する。

室内楽版においても、ホルンとチェロは音響を添える役目に徹している場面が多い。しかしながら一部の変奏では、ホルンが(単純な音型の繰り返しに過ぎないとはいえ)主導的な役割を果たしている。改訂時に割愛された間奏部分では、チェロが主導的になっている。

以下の順序で切れ目無く演奏される。序奏、間奏部、第10変奏は室内楽版にのみ存在する。

  • 序奏(ソステヌート) 室内楽版のみに存在する短い部分。ピアノ、チェロ、ホルンの順に音が重なっていき、最後はホルンのロングトーンが強調される。
  • 主題(アンダンテ・エスポレッシーヴォ) 2台のピアノで順序に演奏される。
  • 第1変奏 主題の一部が細かい動きに短縮された変奏。
  • 第2変奏(ウン・ポコ・ピウ・アニマート) 細かい分散和音的な旋律に変奏される。
  • 第3変奏 新しいロマンチックな旋律が現れる。
  • 第4変奏(ピウ・アニマート) 推進力のある旋律に変奏される。
  • 第5変奏(ピウ・レント) テンポが落ち、荘重なファンファーレ音型がひたすら続いていく。室内楽版では、ホルンがファンファーレを奏する。
  • 間奏部(ウン・ポコ・ピウ・レント) 室内楽版にのみ存在する。シューマンの「女の愛と生涯」と同じ旋律が、チェロとホルンのコラールによって繰り返される。全曲の中で数少ない、ピアノが脇役となった部分である。
  • 第6変奏(ピウ・レント) 最初のテンポで主題が演奏される。
  • 第7変奏(アニマート) キラキラしたピアニスティックな変奏。
  • 第8変奏 リズミックな音型が繰り返される。室内楽版では、ホルンと他の楽器の対比によって曲が進行する。
  • 第9変奏 シンコペーション風の、リズミックな舞曲風の変奏。最終部分、いったん曲が静まる。
  • 第10変奏(ドッピオ・モヴィメント) 室内楽版にのみ存在。激しいリズムによる変奏。最終部分で次第に曲想が収まり、終曲に繋がる。
  • 終曲(テンポ・プリモ) 主題が回想され、静かに曲が閉じられる。なお終結部は作曲者自身により、2種類が残されている。

レコーディング・実演

室内楽版は、編成が特殊ではあるが、シューマンの音楽を特集した演奏会などでしばしば演奏される。

CDとしては、マルタ・アルゲリッチを含む演奏家がシューマンの室内楽曲を連続的に演奏した(この曲も含む)演奏会のライブCDが、EMIから発売されているものが有名である(ホルンはマリー・ルイズ・ノイネッカー)。

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