事件による被害
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/11 06:40 UTC 版)
4月26日に国鉄が集計したところによれば、被害額は次のようになっており、磯崎叡総裁は26日の衆議院運輸委員会にて報告を行っている。 国鉄の損害額 損害額合計:9億6000万円(以下内訳)車両:1億円被害S:走行不能になるほど致命的なダメージを負い廃車となった車両の補充製造で数編成 被害A:工場に入庫して修理を要する車両で23編成 被害B:電車区で約1週間で修理できる車両で36編成 被害C:ガラス破損など1日で修理できる車両で32編成 建物:1億2000万円 電気機械設備:4億1000万円(コンピュータ等) 自動券売機:1億3000万円、東京都配置数約3000台のうち208台が使用不能 乗車券類の払い戻し:2億円 その他 鉄道弘済会損害:数千万円(売店の破壊等) 貨物減送量:47万トン(内生活必需品10万トン) なお、上野、神田、有楽町3駅のみどりの窓口はしばらくの間営業不能の状態であり、指定券類の販売は秋葉原、東京、新橋に案内することとなった。再開は神田が5月初旬であったが他の2駅は目処がついていない状態であった。車両被害も従来になく大規模であったため、しばらくの間間引き運転を強いられた。 上述のような地上設備にもわたる被害の他、全国においてはスト自体は継続されたこともあり、貨物減送の内生活必需品については、運輸省が道路運送法第34条に基づき一般の運送業者に代行輸送を命じることが決定され、4月27日より実施された。同条は災害輸送や公共生活の維持のための輸送手段が著しく不足する場合、運輸大臣が業者に代行輸送を命じることが出来る旨が定められている。代行輸送自体は上尾事件で知られる3月のストの際も実施されていたが、当時は国鉄が自主的に業者と契約する形だったのに対して、今回は法律に基づく命令であった。同条文が制定された1951年以来初の事態であった。当時国鉄は平常、生鮮食料品の急送列車を1日19本運行していたが、これらをトラックで代行すると1日500台が必要で、トラック運賃は国鉄の約10倍となり、1日辺りの経費は1億円となる。その差額は国が補償することとなった。 なお、暴動やその発端となったサボタージュ闘争(4月27日にもストが実施された)の余波で、1973年のゴールデンウィーク波動輸送にも影響し、連休前半は列車の運休を引きずり旅行見合わせが相次いだ。このため前半の輸送実績は前年に比較して大幅な旅客減であり、このつまずきのため連休を利用した旅行距離も短めとなる傾向があったと言う。
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