上陸作戦開始
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/02 15:36 UTC 版)
仁川港への上陸作戦を行う前の前哨戦として、仁川港の前に位置する月尾島(ウォルミド)の占領が必要であった。北朝鮮軍が展開した砲兵部隊は洞窟陣地に海岸砲を配置した。月尾島の北朝鮮軍陣地は仁川港に接近する際に通過する飛魚水道を完全に火制していたが、外洋から攻撃することが出来なかった。 9月10日、護衛空母バドエン・ストレイト、護衛空母シシリーから出撃したF4U コルセアがナパーム弾を投下し、民家、倉庫の多くが焼失した。翌11日、12日にも焼夷攻撃が反復して行われ、島は焼き払われた。 9月13日午前7時、第9駆逐隊の駆逐艦6隻(マンスフィールド(英語版)、ド・ヘイブン(英語版)、ライマン・K・スウェンソン(英語版)、コレット(英語版)、ガーク(英語版)、ヘンダーソン(英語版))、重巡洋艦2隻(トレド、ロチェスター)、イギリス海軍軽巡洋艦2隻(ケニア、ジャマイカ)の計10隻が各艦の距離630メートルの単縦陣で飛魚水道に進入し、同時に月尾島には空爆が行われた。重巡洋艦、軽巡洋艦の4隻は仁川南方に投錨、第9駆逐隊はヘンダーソンを機雷の監視と処理に残し、ガーク他5隻の駆逐艦は月尾島の西側720メートルまで接近した。第9駆逐隊は海岸砲と1時間弱の至近弾多数を受ける砲撃戦を行った。コレットが9発を被弾し、艦隊全体では戦死1名、負傷8名の人的損害が発生した。その後、巡洋艦4隻がさらなる艦砲射撃を行った。翌14日にも同様の艦砲射撃が行われたが、この際には北朝鮮側の反撃はほとんどなかった。 9月15日、この日1度目の満潮時刻にあわせた午前6時30分、第1海兵師団第5海兵連隊第3大隊は月尾島北西岸(グリーン・ビーチ)に上陸。北朝鮮兵約400名が洞窟陣地から反撃を行ったが、島は45分で確保された。 本番となる仁川港への上陸は、この日2度目の満潮にあわせた午後5時30分に開始された。第1海兵連隊は仁川市南地区の干潟(ブルー・ビーチ)へ上陸、第5海兵連隊は高い岸壁がある仁川市北西部(レッド・ビーチ)へ上陸した。上陸第三波まで反撃は行われず、日没と共に北朝鮮軍守備隊は撤退した。この成功によって、残りの第10軍団と第7歩兵師団が機甲・砲兵部隊とともに敵の抵抗をほとんど受けずに上陸に成功し、この日の内に2万5千人の兵力が上陸した。深夜には第5海兵連隊第2大隊がソウル - 仁川を結ぶ街道まで進出した。第1海兵師団が上陸初日にこうむった損害は、戦死20人、負傷者174名で、仁川地区で迎え撃った北朝鮮軍は500名程度であった。 最終的に、兵員6万5千名に加え、60輌以上のM26重戦車が揚陸された。
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