一般の被保険者
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/02 03:15 UTC 版)
一般の被保険者は、以下のいずれかに該当するに至った日から、被保険者の資格を取得する(第35条)。事業主は、一般の被保険者資格を取得した者があるときは、5日以内に、保険者が全国健康保険協会の場合は日本年金機構に、健康保険組合の場合は当該健康保険組合に(以下、「機構又は組合に」と略す)被保険者資格取得届(当該被保険者が被扶養者を有する場合は被扶養者届も併せて)を提出しなければならない。平成29年1月より、健康保険組合に提出する資格取得届には被保険者の個人番号を、日本年金機構に提出する資格取得届については被保険者の基礎年金番号を記入しなければならない。 適用事業所に使用されるに至ったとき「使用されるに至ったとき」とは、事実上の使用関係の発生した日をいう(昭和3年7月3日保発480号)。資格取得届のもれがあった場合でもすべて事実の日にさかのぼって資格取得させるべきものである。また、臨時や試用期間などの理由で雇用者の出入りが頻繁で永続するか不明といった理由で資格取得を遅延させることは出来ない。 使用されている事業所が適用事業所になったとき 適用除外に該当しなくなったとき 同時に2以上の事業所に使用される被保険者(日雇特例被保険者を除く)は、2以上の事業所に使用されるに至った日から10日以内に、その被保険者が、その保険者(いずれも協会けんぽで業務が2以上の年金事務所に分掌されているときは、その年金事務所)を選択する。 事業所が適用事業所となった場合、労災保険や雇用保険とは異なり、法人から労働の対償として報酬を受け取っていれば、法人の代表者・役員も含むすべての被用者は原則として被保険者となる(昭和24年7月28日保発74号)。外国人であっても適法に就労していれば一般の被保険者となる。ただし個人事業主は「使用される者」とはみなされないので、被保険者とならない。また、被保険者・被扶養者が法人の役員(取締役、業務執行社員、執行役、ほか名称を問わずこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有すると認められるものを含む)である場合に、その業務上の負傷については、使用者側の責めに帰すべきものであるため、労使折半の健康保険から保険給付を行うことは適当でなく、原則として保険給付の対象外とされる(第53条の2、平成25年8月14日事務連絡)。 被保険者が5人未満である小規模な適用事業所に所属する法人の代表者であって一般の労働者と著しく異ならないような労務に従事している者については業務上の事由による疾病等であっても健康保険による保険給付の対象とする(第53条の2、規則第52条の2)。従来、当面の暫定措置とされていて(平成15年7月1日保発0701002号)、さらに傷病手当金は当措置の対象外とされてきたが、平成25年の改正により第53条の2が追加され前述の通知が廃止されたことで、傷病手当金も含めて措置が恒久化された。 休職者については、休職期間中に給与の支給がなされているか、一時的に給与の支払いが停止されているにすぎない場合は、被保険者資格を存続させる。しかし休職中に給与が全く支給されず、実質的に使用関係が消滅している場合は、被保険者資格を喪失させる(昭和6年2月4日保発59号)。雇用契約は存続しても、事実上の使用関係がないものについては、被保険者資格を喪失させる(昭和25年4月14日保発20号)。 被保険者が解雇された場合においてその解雇の効力を争う場合、解雇行為が明らかに労働法規や労働協約に違反している場合を除き、事業主から資格喪失届の提出があったときは、たとえ当該事件が係争中であったとしても一応資格を喪失したものとして受理する扱いになっている(昭和25年10月9日保発68号)。 労働組合専従者については、従前の事業主との関係では被保険者資格を喪失するが、労働組合に使用される者として一般の被保険者となる(昭和24年7月7日職発921号)。なお、共済組合の組合員については、一般の被保険者であっても原則として健康保険法による保険給付は行わず、保険料も徴収しない。 同一の事業所において雇用契約上いったん退職した者が1日の空白もなく引き続き再雇用された場合には、事実上の使用関係は継続しているので、被保険者資格も継続する。有期の雇用契約又は任用が1日ないし数日の間を空けて再度行われる場合においても、雇用契約又は任用の終了時にあらかじめ、事業主と被保険者との間で次の雇用契約又は任用の予定が明らかであるような事実が認められるなど、事実上の使用関係が中断することなく存続していると、就労の実態に照らして判断される場合には、被保険者資格を喪失させることなく取り扱う必要がある(就労の実態に照らして個別具体的に判断する。平成26年1月17日保保発0117第2号)。ただし、60歳以上の者の再雇用については、使用関係をいったん中断したものとみなして取扱っても差し支えない(平成25年5月31日保発0531第1号)。そうすることで、再雇用に伴う給与の低下に即応して在職老齢年金の支給停止額を減額改定できる(特別支給の老齢厚生年金の受給額を多くできる)ため等である。
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