ミルストーン
ミルストーン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/08 08:42 UTC 版)
ミルストーンは、小麦や他の穀物を挽くために動力を用いた回転式の石臼で、日本語では「碾臼」と記される。回転臼と固定臼からなるペア構造や特性および用途は手挽きのロータリーカーンと同様である。ただしミルストーンの回転臼は、その駆動機構(風力、水力、潮力など)とつながっている主軸またはスピンドルの頂部にある「メイスヘッド」に固定された、リンズという十字型の金属片で支えられている(後段の名称図参照)。 ミルストーンを作るのに最も適した石の種類は、ブーアストン(buhrstone)と呼ばれる珪質岩、ざらついた質感の多孔質だが固くてきめ細かい砂岩、あるいは珪化した化石を含んだ石灰岩である。 英国で使用されたミルストーンにはいくつかの種類がある。 一塊の石から切り出した灰色硬砂岩のダービーシャー・ピークストーンは、大麦を挽くのに使用された 。この模造品はピーク地方国立公園(en)の境界にて道標の飾りとして使用されている。ダービーシャー・ピークストーンはすぐに磨耗して小麦粉の中に石片粉末が残ってしまうため、人間が消費するための小麦粉を作るには望ましいものではなく、一般的には動物飼料を挽くのに使用された。 フレンチ・ブーアストーンは細かい研削に使用された。フレンチ・ブーアはフランス北部のマルヌ渓谷(en)から来ている。その石臼は一塊の石から切り出されるのではなく、石膏での裏打ちや鉄バンドでの焼きばめ固定をすることで石英の部材から組み立てられる。イングランド南部では、材料が岩の部材として輸入され、地元の工房で完全なミルストーンに組み立てられるだけだった。なお、完成した回転臼と軽量側に施された鉛の重さとのバランスをとる必要があった。 エメリー鉱の部材から作られたコンポジット・ストーンは19世紀に導入された。補助エンジンが採用された時に、利用可能な高速研削により適していることが判明した。 ヨーロッパでは、さらに別の種類の石臼も使用された(こちらは英国では一般的でなかった)。 カレンストーン(ケルンの石)、ドイツのケルン近郊マイエンにあるライン渓谷で採石された黒い溶岩で形成された。
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