ミルストーンでの製粉
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/08 08:42 UTC 版)
穀物は重力によってホッパーから供給シューに供給される。シューは軸受け石の上にある撹拌機(ダムゼル)の向かい側にあるシューハンドルによって動かされ、そのシャフトが回転臼を動かす。この機構は、供給を回転臼の速度に依存させることによって、ミルストーンへの穀物供給を調整している。穀物は供給シューから回転臼中央のアイと呼ばれる穴を通って落ち、回転臼と固定臼の間で挽かれる。挽かれた粉は横にある臼同士の隙間から出てくる。臼の外枠は床に小麦粉が落ちるのを防ぎ、代わりに袋詰めや次なる処理ができる場所に注出口が取り付けられている。 回転臼は、スピンドル軸受け上の十字型をした金属製リンズで支えられている。スピンドルは、テンタリングギア(レバーシステムを形成する1組の梁)またはスクリュージャッキによって保持され、それによって回転臼をわずかに上下させることができ、臼同士の隙間を調整することができる。回転臼の重量はかなりのもの(最大1500kg)で、この重量が多孔質石に起因する切削作用および粉砕プロセスを引き起こす溝パターンと組み合わさっていく。 水力で動かす一部の碾臼(Peirce Millなど)は約125rpmで回転する。 特に風力で動かす碾臼の場合、回転速度は不規則になる可能性がある。高速になるほどより多くの穀物が供給シューから臼に供給されて、その速い回転速度のためより早く穀物が臼を出てくることになる。碾部では臼同士の間の隙間を減らす必要があり、回転臼のより大きな重さが穀物を押し下げ、かつ研削作用を高めて砥粒が粗くなり過ぎるのを防ぐ。そのことが碾臼の負荷を高め、それで挽きを遅くできるという利点も加わる。逆に穀物があまりにも徹底して製粉されてしまう場合、不適当なら回転臼を上げなければならないこともある。いずれにせよ、粉砕の最中に石臼には決して触れるべきではなく、それをやると臼が急速に摩耗する原因となる。回転臼を上昇下降させる工程は、幅出し(テンタリング)などと呼ばれる。 多くの風車では、テンタリングギアに遠心調速機を追加することで自動化がされている。 粉砕される穀物の種類および利用可能な力に応じて、供給シューの攪拌量を変更したりホッパー出口のサイズを調整することにより、ミルストーンは臼に送りこむ穀物供給量を事前に調整することが可能である。ミルストーンによる製粉は、製粉が多段階で行われる現代の大量生産におけるローラミルとは対照的に、1段階の工程である。
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