ミルキークイーンとは? わかりやすく解説

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ミルキークイーン【ミルキークイーン】(食用作物)

登録番号 第6385号
登録年月日 1998年 5月 22日
農林水産植物の種類
登録品種の名称及びその読み ミルキークイーン
 よみ:ミルキークイーン
品種登録の有効期限 15 年
育成者権の消滅  
品種登録者の名称 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構
品種登録者の住所 茨城県つくば市観音台三丁目1番地1
登録品種の育成をした者の氏名 赤間芳洋 堀末登 中根晃 横尾政雄 伊勢一男 安東郁羽田丈夫 須藤沼口憲治 根本博 古館井邊時雄
登録品種の植物体の特性の概要
 この品種は,「コシヒカリ」に受精卵メチルニトロソウレア処理を行いアミロース含量着目して選抜育成され固定品種であり,育成地(茨城県つくば市)における成熟期早生の晩,稈長がやや長,障害型耐冷性が強,耐倒伏性が弱くアミロース含量の低い良食味水稲粳種である。  型は中間型,稈長はやや長,稈の細太はやや太,剛柔はやや柔,止葉直立程度はやや垂である。穂長及び穂数は中,粒着密度はやや密である。穎色は黄白,ふ先色は黄白-黄,有無多少は稀である。玄米の形及び大小は中,精玄米千粒重は小,見かけ品質は中の下,光沢はやや良,食味上の中である。出穂期及び成熟期早生の晩,障害型耐冷性は強,穂発芽性は難,耐倒伏性は弱である。いもち病抵抗性推定遺伝子型は+ ,白葉枯病圃場抵抗性は弱,アミロース含量は低である。  「コシヒカリ」と比較してアミロース含量が低いこと等で区別性認められる
登録品種の育成経過概要
 この品種は,昭和60年農業研究センター茨城県つくば市)において,「コシヒカリ」に受精卵メチルニトロソウレア処理を行い変異第2代アミロース含量着目した個体選抜行って育成され固定品種である。平成2年から生産力検定試験3年から特性検定試験行い4年以降関東168号」の系統名地域適応性検討し6年にその特性を確認して育成完了した7年変異第10代である。



ミルキークイーン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/24 07:31 UTC 版)

ミルキークイーンは、イネの栽培品種及び米の銘柄名の一つ。コシヒカリを基に日本で育成された低アミロース品種である。コシヒカリと同等の形態・生態的特性や栽培特性を持ち、東北地方南部が栽培の北限となっている。農林登録番号は水稲農林332号。本品種は農林水産省の「需要拡大のための新形質水田作物の開発[1]」プロジェクト(スーパーライス計画)の一環で育成開発されたもの[2]である。

食味

玄米はやや白濁している。炊飯すると光沢がよく、アミロース含量は佐藤ら(2001年)によれば9.5~11.1%[3](同研究によればコシヒカリは22.3~23.5%[3])であり粘り強い。通常の米よりも軟らかくなりやすいため加水量を10~15%ほど減らすと適度な硬さが得られ[4]、冷えた後も硬くなりにくい。炊飯米の食味は日本晴より総合的に優れており、白飯おにぎり炊き込みご飯の他、膨化性や風味が良くチルド米や米菓にも適しているが、、寿司には不向きと思われる[4]

なお、ミルキークイーンの低アミロース性は胚乳の性・性を決定する遺伝子座「wx」にある遺伝子の変異が原因であることが判明しており[3]、原因遺伝子は「wx-mq」と名付けられた[5]

開発の経緯

胚乳アミロースを低下させて粘り強く食味の良い米を得るため[6]1985年農研機構(旧農業研究センター・稲育種法研究室)で研究が始まった。同年にコシヒカリ受精卵メチルニトロソウレア英語版(MNU、ニトロソウレア誘導体)突然変異原処理を行い[4][6]、5個体から650粒の種子が得られた。

1986年にM1世代を養成して1987年にはM2世代を圃場で栽培し、各個体から採種したについて玄米の白濁を調べて選抜した結果、半糯突然変異の2個体を得た。これを受けて1988年から系統栽培を行ない、1990年から生産力検定試験を始めている。また1991年から一方の系統を「鴻271」と名付けて生産力および特性検定試験に供試し、1992年に「関東168号」と命名して各府県に配布して地域適応性を検討した。1995年にはM10世代が育てられ、1998年に「水稲農林332号」として品種登録された。

栽培特性

基本的に栽培特性はコシヒカリと同様で南東北以南に適応し、関東地方では出穂期・成熟期とも早生の晩に属する。倒伏しやすいため、多肥栽培を避け適期に刈入れる事が推奨されており、いもち病への耐性も弱い。耐冷性は極めて強く、穂発芽性や脱粒性は難である。収量性はコシヒカリよりやや低い。米粒の形状・サイズなど外観品質はコシヒカリ並だが、玄米は基本的に白濁し不透明となる[4]

形態的には、稈長は長く穂長・穂数は中程度で、草型は中間型。粒着密度は中密で、先色は黄白となる。

関連品種

親戚・子孫品種

交配組合せは「母×父」の順。全てミルキークイーンと同様に変異遺伝子「wx-mq」を保有している。

親戚品種

  • ミルキープリンセス[7] - 関東163号×鴻272(ミルキークイーンと同じM1個体に由来する低アミロース系統)。稈長が短く縞葉枯病に抵抗性である。2001年公表。

子品種

  • ミルキーサマー[8] - 和系243(出穂遺伝子Hd1を持つコシヒカリの早生同質遺伝子系統)×ミルキークイーン。出穂期が育成地では「ミルキークイーン」より13日、「あきたこまち」より3日早い"極早生"熟期。2009年公表。
  • ミルキーオータム[9] - 関東HD2号(出穂を晩生化する遺伝子Hd5を持つコシヒカリの晩生同質遺伝子系統)×ミルキークイーン。育成地における出穂期が、「ミルキークイーン」よりそれぞれ8日遅く、「日本晴」並の"やや晩"である。2017年公表。

孫品種

  • あさゆき[10] - 相 624(ミルキークイーンの子) × 相 612。青森県産業技術センター農林総合研究所藤坂稲作部で育成。2015年公表。

脚注

  1. ^ 春原嘉弘(東北農業試験場) (1990年12月). “スーパーライス計画の背景と展望” (PDF). 東北農業研究 別号3. 東北農業試験研究協議会. pp. 5-13. 2018年7月6日閲覧。
  2. ^ 水稲の品種開発” (PDF). 農林水産省. p. 2 (2008年3月). 2010年4月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年7月5日閲覧。
  3. ^ a b c 佐藤、2001年、P.15
  4. ^ a b c d イネ品種 データベース 検索システム  「 関東168号( ミルキークイーン ) 」 品種情報 ”. ineweb.narcc.affrc.go.jp. 2021年3月16日閲覧。
  5. ^ Sato, Hiroyuki; Suzuki, Yasuhiro; Sakai, Makoto; Imbe, Tokio (2002). “Molecular Characterization of Wx-mq, a Novel Mutant Gene for Low-amylose Content in Endosperm of Rice (Oryza sativa L.)”. Breeding Science 52 (2): 131–135. doi:10.1270/jsbbs.52.131. ISSN 1344-7610. https://doi.org/10.1270/jsbbs.52.131. 
  6. ^ a b 佐藤、2001年、P.13
  7. ^ 佐藤宏之, 井辺時雄, 根本博, 赤間芳洋, 堀末登, 太田久稔, 平林秀介, 出田収, 安東郁男, 須藤充, 沼口憲治, 高舘正男, 平澤秀雄, 坂井真, 田村和彦, 青木法明「低アミロース米新品種「ミルキープリンセス」の育成」『作物研究所研究報告』第9号、農業技術研究機構作物研究所、2008年3月、63-79頁、 ISSN 13468480NAID 40016082523 
  8. ^ ミルキーサマー | 農研機構”. www.naro.affrc.go.jp. 2021年3月29日閲覧。
  9. ^ ミルキーオータム | 農研機構”. www.naro.affrc.go.jp. 2021年3月29日閲覧。
  10. ^ イネ品種 データベース 検索システム  「 ふ系228号( あさゆき ) 」 品種情報 ”. ineweb.narcc.affrc.go.jp. 2021年3月29日閲覧。

参考文献

関連項目

外部リンク



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