マングローブの破壊と再生
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/03 13:40 UTC 版)
「マングローブ」の記事における「マングローブの破壊と再生」の解説
近年、世界各地でマングローブの破壊が問題になっている。東南アジアでは、木炭の材料とするための伐採と、海岸沿いの湿地を日本向けのウシエビ(ブラックタイガー)やバナメイエビなどのエビ養殖場とするための開発が主な原因となっている[要出典]。また、家畜の飼料とするための伐採も行われている。そのため、あちこちでマングローブが消滅しつつある。 熱帯雨林の破壊が地球温暖化とのかかわりで問題になったように、マングローブの破壊も同様な問題として注目されるようになった。また、マングローブが海の水質浄化にはたす役割が大きいことが知られるようになり、世界の湿地帯の価値の見直しとも連動し、その意味でも注目を受けつつある。 また、2004年のスマトラ島沖地震以降、マングローブによる津波被害の軽減の効果が指摘された。マングローブが自然の防波堤となることで、津波の人への被害の原因となる漂流物体が食い止められるというものである。スマトラ沖地震で大きな被害をうけた東南アジア諸国では、マングローブの再生への関心が高まっている。 現在、あちこちでマングローブの再生を目指した試みが行われている。紅海では砂漠の沿岸でマングローブの形成が試みられた。砂浜では風と波のために生育が維持できないが、枯れ木などを使って柵を作り、水流を止めるようにすれば生育が始まり、群落が少し出来れば、それが波除けとなって次第に面積が広がると言う。 日本でもマングローブの浄化作用を利用しようとの目的で、マングローブ林形成を目指す事業が各地で行われている。沖縄県那覇市の漫湖にはマングローブ林が植樹され、分布範囲が広がっている。しかし、上流からの土砂の流入や生活排水の流入、廃棄物が原因という可能性もあるが、干潟の陸地化や悪臭などの問題も生じている。 さらに、伊豆半島の青野川など本州の太平洋岸地方でも、あちこちでマングローブを育てようとの試みが行われている。これらの地域は、本来の分布域ではなく、そのままでは生育させることが難しい。そこで、ビニールシート等をかけて保温する方法などもとられている。だが、本来根付かない植生を根付かせることは自然植生の撹乱であるとの意見もある。
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