マグロ亜属
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/12 01:41 UTC 版)
マグロ亜属(Thunnus)には下記の5種が含まれる。 クロマグロ(黒鮪) 学名 Thunnus orientalis (Temminck & Schlegel, 1844)、英名 Pacific bluefin tuna 全長3 m・体重400 kgを超える。本種・タイセイヨウクロマグロ・ミナミマグロの3種はマグロ属の中でも胸鰭が短く、第二背鰭に届かない点で他種と区別できる。日本近海を含む太平洋の熱帯・温帯海域に広く分布する。 日本の地方名としては、若魚をヨコ、ヨコワ(近畿・四国)、メジ(中部・関東)、ヒッサゲ、成魚をホンマグロ(東京)、シビ、クロシビ(各地)などと呼ぶ。特に青森県大間町沖産の「大間まぐろ」が最上等種とされ、豊洲市場(築地市場から移転)の初競りでは1匹億円単位の値が付くこともある。魚体の色と希少価値から「黒いダイヤ」とも呼ばれる。タイセイヨウクロマグロと同種または亜種とすることがある。亜種の場合、学名はThunnus thynnus orientalisとなる。 タイセイヨウクロマグロ(大西洋黒鮪) 学名 Thunnus thynnus (Linnaeus, 1758)、英名 Atlantic bluefin tuna 全長4.5 m・体重680 kgに達し、マグロ属、ひいてはサバ科でも最大種である。地中海・黒海を含む大西洋の熱帯・温帯海域に分布する。IUCNレッドリストでは絶滅危惧と評価されている。 ミナミマグロ(南鮪) 学名 Thunnus maccoyii (Castelnau, 1872)、英名 Southern bluefin tuna 別名インドマグロ。全長2.5 mに達する。南半球の南緯60度までの亜熱帯・温帯海域に分布する。身の脂が豊富で、寿司種(寿司ネタ)に好んで用いられるが、IUCNレッドリストではCR(絶滅危惧IA類 : 最も絶滅が危惧される動物のランク)に記載されている。 メバチ(メバチマグロ/目鉢) 学名 Thunnus obesus (Lowe, 1839)、英名 Bigeye tuna 全長2 mほどの中型種。他種より太いずんぐりした体型、大きな目、長い胸鰭を持つ。和名「メバチ」や英名"Bigeye tuna"は、大きな目に由来する。日中は他のマグロより深い層を泳ぐが、夜は表層に上がってくる。赤道から南北に緯度35度の範囲に多く生息する。世界的な漁獲量はキハダに次ぐが、日本での流通量は最多で、店頭に並ぶ機会も多い。地方名はバチ(東北・関東)、メブト(九州)、幼魚は各地でダルマとも呼ばれる。IUCNレッドリストVU(絶滅危惧II類)。 ビンナガ(ビンナガマグロ/鬢長) 学名 Thunnus alalunga (Bonnaterre, 1788)、英名 Albacore tuna 体長1 m程の小型種。「ビンナガ」の称は長大な胸鰭を鬢(もみあげ)に見立てたもので、トンボの翅に見立てたトンボ、シビ等の異称もある。赤道から南北に緯度10-35度の熱帯・亜熱帯海域に広く分布する。身は淡いピンク色でやや水っぽく、酸味がある。鶏肉に似ることから欧米での需要が高く、缶詰などの加工食品で多く流通する。生食の需要も高まっていて、一部の寿司屋では「ビントロ」という名前で販売されている。IUCNレッドリストDD(情報不足)。 クロマグロ ミナミマグロ メバチ 目が大きい。 ビンナガ 長大な胸鰭をもつ。
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