プロジェクト成果
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/19 09:02 UTC 版)
自身もクリエイターである手塚眞は、以前よりAIに関心を持っており、企業とのコンピュータープログラムの共同開発プロジェクトを率いた経験があった。そのため制作を打診された際には「AIに手塚漫画が描けるかいえば無理だと思ったが可能性はある、むしろ絶対あるしやってみる価値はあり、素敵な話だと思った。」、やるならハードルの高いところへダメ元で挑もうとしたが、同時に「見開き漫画程度か、雑誌掲載となるとずっと先、10年以上はかかるだろう」と考えてもいた。予想よりずっと早く作品が完成したことについては、後に「まるで手塚治虫の漫画の中のよう」だと感慨を述べている。 プロジェクトの成果については「AIで手塚の新作を作ることに抵抗はなく、作品が面白ければ良く、人でもAIでも読者の心を動かすことが大事だった」と語った。そして、手塚の作品が業界から批判されつつも、やがて世間や後進に受け入れられたことを思い、パイオニア精神と新技術に対する好奇心を持ち、許容していくのが遺族として手塚治虫を継承することである、と考えるようになったという。 そして「『ストーリー漫画』とも呼ばれた手塚漫画を再現するには、しっかりとした構造を持つストーリーとキャラクターの生成が不可欠であり、『ぱいどん』ではここまでを取り組みとして果たすことができた」と評価した。 「AI美空ひばり」については「(故人を取り扱うことについて)ディレクションする人の考え方による。『ぱいどん』は(人物ではなく)あくまで作品であり、既に手塚作品を元にした新作は多く存在するため、事情が異なる」と述べている。 栗原は「TEZUKA2020」の企画が立ち上がった当時、AI研究者としての立場から「AIで手塚治虫を蘇らせ、新作を作らせるという発想は危険だ」と忠告したことを踏まえ、「TEZUKA2020」は、あくまでも手塚治虫の知識を活用して新しいものを生み出すこと、そのためにAIはどこまでサポートできるかを実験するプロジェクトである」と述べている。そして、AIは個人の個性やフィルターの影響を受けることなく「手塚治虫が描きそうなもの」に向けて修正を繰り返すことができる、という点で、人による物真似を超えられるかもしれないとしている。 また栗原は「AI美空ひばりの場合は、AIの利用方法ではなく演出が結果的に否定的な意見を生んだ。声だけの再現なら賛否は生じなかったが、背景や衣装により生々しいCGが際立ち、観客へ語りかける場面も相まって直観的に不気味に映ったのではないか」と指摘した。
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