フルオロホウ酸とは? わかりやすく解説

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テトラフルオロホウ酸

(フルオロホウ酸 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/09 15:35 UTC 版)

テトラフルオロホウ酸
識別情報
CAS登録番号 16872-11-0 
EC番号 240-898-3
国連/北米番号 1775
RTECS番号 ED2685000
特性
化学式 HBF4
モル質量 87.81 g/mol
外観 無色透明の液体
融点

-90 °C

沸点

130 °C

への溶解度 混和性
酸解離定数 pKa -0.4
構造
結晶構造 N/A
危険性
安全データシート(外部リンク) External MSDS
EU分類 腐食性(C)
EU Index 009-010-00-X
Rフレーズ R34
Sフレーズ (S1/2), S26, S27, S45
関連する物質
その他の陰イオン ヘキサフルオロリン酸, トリフルオロメタンスルホン酸
関連物質 テトラフルオロホウ酸カリウム
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

テトラフルオロホウ酸(テトラフルオロホウさん、tetrafluoroboric acid) はフルオロホウ酸 (fluoboric acid、borofluoric acid) とも呼ばれる無機酸。 硝酸に匹敵する強酸で、弱配位性の非酸化性共役塩基である。

有毒で皮膚を侵す。毒物及び劇物取締法により、塩も含めて劇物に指定されている。法律上の名前は「硼弗化水素酸」[1]

合成法と性質

純物質は知られておらず、ジエチルエーテルなどの溶液(分子式 HBF4に溶媒分子が配位した形)で市販されている。

水溶液の形では、20 - 25°Cフッ化水素酸(HF)水溶液にホウ酸(H3BO3)を溶解することによって合成できる[2]

部分的に加水分解を受け、BF3OH- とフッ化水素を生じる。水溶液として市販されている。 無水酢酸で処理することによって無水溶液を得られる[3]

分子構造

テトラフルオロホウ酸とトリフェニルホスフィンオキシドの 1:2 錯体についてX線構造が報告されている。それによると、ホウ素の上には歪んだ四面体形に4個のフッ素が結合している。そのうち1個のフッ素上に水素が結合しておりその水素はさらに O=P の酸素とも結合している。B-F(H) の結合長は他の3個の B-F 結合よりも長い[4]

アニオン(tetrafluoroborate, BF4-) はフッ素の高い電気陰性度のために安定化された共役塩基で、求核性塩基性、および配位性の低いアニオンとしての性質から、通常は不安定なカチオン種を塩として単離するための対アニオンとして、また有機金属反応試薬として、用いられている。

テトラフルオロホウ酸塩

ヘキサフルオロリン酸アニオン (PF6-) と並んで特徴的な利用法が知られている。

カリウム塩は難水溶性で、アルカリ金属であるカリウムを特異的に沈殿分離させることができるため、肥料などの定量試薬として用いられる。

芳香族ジアゾニウムイオンにテトラフルオロホウ酸を加えて得られる塩 (ArN2+ BF4-) は、ジアゾニウム塩としては特異的に安定である。これは、シーマン反応(熱分解によるフッ素化)の基質として用いる合成中間体ともなる。

脚注

  1. ^ 毒物及び劇物取締法 昭和二十五年十二月二十八日 法律第三百三号 第二条 別表第二 二十一
  2. ^ Flood, D. T. "Fluorobenzene". Organic Syntheses (英語).; Collective Volume, 2, p. 295
  3. ^ Gregory K. Friestad, Bruce P. Branchaud, "Tetrafluoroboric Acid" in "Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis" 2001 John Wiley & Sons. doi:10.1002/047084289X.rt035
  4. ^ Chekhlov, A. N.; Tkachev, V. V. "Crystal structure of the 1:2 molecular complex of tetrafluoroboric acid with triphenylphosphine oxide." Zhurnal Neorganicheskoi Khimii 2003, 48, 1141-1144.

「フルオロホウ酸」の例文・使い方・用例・文例

  • フルオロホウ酸の塩
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