ヒトへの毒性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/24 04:01 UTC 版)
ヒトへの過量服用の事例は限定されている。通常、服用した量と服用してからの経過時間によって症状は変化する。しかし、個人の感受性が重要な役割を占める。ヒトが過量服用した際の反応は、無反応から集中的治療にもかかわらず致命的な結果まで幅がある。主な症状は、イブプロフェンの薬理学的性質の超える症状および腹痛、吐き気、嘔吐、眠気、めまい、眼震を含む症状である。消化器出血も起こりうる。さらに耳鳴り、中枢神経抑制、発作、低血圧、徐脈、頻脈、心房細動などの副作用が起こりうる。代謝性アシドーシス、昏睡、急性腎不全、浮腫を伴う体液およびナトリウム停留、高カリウム血症、無呼吸症(主として低年齢の子供)、呼吸抑制、呼吸停止などのまれな症状がある。数例にチアノーゼが見られた。一般的に、イブプロフェンの過量服用による症状は他のNSAIDの過量服用の症状に近い。 過量服用による症状の度合いと測定した血漿中の濃度については、ある程度の相関性がある。危険な服用量は約100mg/kgから800mg/kgである。後者の服用量については臨床的な経過が致命的である事を意味しない。治療上の1回の投与量は5から10mg/kgである。従って、治療上の指標は10から160である。しかし、患者の年齢、体重、既往症により変化するため正確なLD50を定義するのは不可能である。 治療は対症療法が主となる。初期段階であれば嘔吐させるべきである。また胃洗浄も効果がある。いずれの場合においても、全身への循環が始まる前に薬剤を吸着するために活性炭素が繰り返し用いられるべきである。通常の排尿を維持するための処置が推奨される。イブプロフェンは酸性の性質を持っておりまた尿によって排泄されるから、アルカリ利尿剤は有益である。低血圧、消化器出血、およびアシドーシスへの対症療法も可能である。通常、ICUでの徹底した監視が指示され、また必要である。もし患者が急性中毒期を乗り切れば、通常その後の再発はない。
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