ヒトへの曝露
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/26 02:40 UTC 版)
一般向けの書物やマスメディアによって、ダイオキシンが「史上最強の猛毒」と扱われることがあるが、生物毒のように直接の即死効果を持つ毒素との比較において、ダイオキシン感受性の高い(後述)モルモットのデータから見積もっても、ボツリヌス毒素はダイオキシンに比べ、少なくとも数千倍の毒性を有する。また以下に示すようなヒトに対する暴露事例において、死亡例についてはほとんど確認できない。また、環境中からヒトが摂取可能なダイオキシン量はさらに少量であり、即死効果という点において、サリンやシアン化カリウムなどと急性毒性を比較するのは不適切である。 ダイオキシン類のヒトへの曝露の事例としては アメリカ合衆国で発生した工場廃液の環境の汚染に伴う事例 工場や研究室における汚染事故 イタリアのセベソにおける汚染事故(セベソ事故) ベトナム戦争における枯葉剤作戦による退役アメリカ軍人らに見られる影響 台湾でのPCB及びPCDF中毒汚染 日本のカネミ油症事件 ヴィクトル・ユシチェンコ暗殺未遂事件(2004年9月、ダイオキシンを盛られての暗殺未遂だと言われている) などが挙げられる。 動物実験や疫学調査により、ダイオキシン類のヒトでの体内半減期は約7.5年と考えられている。 特に問題となるのは妊婦の胎児への影響である。さらに、母乳には脂肪が多く含まれており、ダイオキシン類は脂肪分に多く含まれることが知られており、ダイオキシン類を摂取した授乳期の母親は食事について十分注意する必要がある。
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