バリヤー式
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バリヤー式発馬機 (starting barrier) はロープを張ることによってスタートラインを仕切り、発走前に馬がラインを越えることを防ぐ目的で用いられる装置である。日本ではオーストラリアから導入したことから、当初濠州式バリヤー(ごうしゅうしきバリヤー)と呼ばれていた。また、イギリスでは導入当初こちらを「スターティングゲート」と呼んでいた。 まず、横に佇立させた出走馬の胸の高さに「スターティングバリヤー」と呼ばれる棕櫚縄のロープ(ネット)をフックを利用して張る。発馬担当者のレバー操作でフックを外すとこのロープが上方に跳ね上がり、これをスタートの合図とする。装置は簡便であるが発走前の位置取りで騎手間の牽制があったり、馬が静止しないため突進や出遅れなどの問題が多く一部の競走をのぞいて現在のゲート式に切り換えられた。なお、バリヤー式には軟式バリヤーと硬式バリヤーの2種類がある。 バリヤー式発馬機の初導入は1894年のことで、オーストラリアでの競走に用いられたものであった。考案者であるアレクサンダー・グレイがバリヤーを製作するきっかけとなったのは騎手であった息子のルーベン・アレクサンダーが発走前にチョークで引かれたスタートラインを越えてしまい、罰金5ポンドを払うはめになったことであった。グレイは発馬の際に馬が暴れるのはスターターの旗のはためきが原因だと考え、それに代わる手段として1本のロープを用いたバリヤーを考案した。 グレイの発馬機が初導入されたのは、1894年2月のカンタベリーパーク競馬場(ニューサウスウェールズ州)であった。公正かつ従来より早く発走できる利点が大きく注目され、改良が加えられたのちにオーストラリア全体の競馬場へと導入された。その後1897年にはイギリスのニューマーケット競馬場、1926年には日本 と順次世界中の競馬場へと導入され1932年ごろには世界の主流発走方式として使用されるようになった。 グレイの考案したバリヤーは1本のロープによってスタートラインを仕切るもので、スターターがレバーを引くことによってロープが跳ね上がって発走可能となる仕掛けになっていた。のちにさまざまな改良型が登場しており、1920年代にジョンソンとグリーソンという人物らによるロープを5本に増やしたエキスパンダー状の発馬機、またアメリカ合衆国で考案された移動式バリヤー発馬機などがある。移動式発馬機は1946年になってオーストラリアに導入されている。 現在においては後述のゲート式の普及により、バリヤーによる平地競走の発走はほとんど見られなくなった。一方、障害競走では日本やオセアニアなどの一部地域をのぞき、現在でも主流の発走方式となっているが、イギリスにおいては、1993年のグランドナショナル競走において、バリヤー式発馬機のロープに2度にわたって馬の顔が引っ掛かった事と、それを騎手に知らせる際の係員の不手際で競走不成立になったのを契機に、ゴム紐の様なものを引っ張っておき、それを放す事でスタートするか、あるいは旗を振り下ろすだけでスタートの合図とする方式が主流となり、バリヤー式発馬機は使用されなくなりつつある。
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バリヤー式(濠州式バリヤー)
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「競馬場」の記事における「バリヤー式(濠州式バリヤー)」の解説
まず、横に佇立させた出走馬の胸の高さに「スターティングバリヤー」と呼ばれる棕櫚縄のロープ(ネット)をフックを利用して張る。発馬担当者のレバー操作でフックを外すとこのロープが上方に跳ね上がり、これをスタートの合図とする。装置は簡便であるが発走前の位置取りで騎手間の牽制があったり馬が静止しないため突進や出遅れなどの問題が多く、現在のゲート式に切り換えられた。なお、バリヤー式には軟式バリヤーと硬式バリヤーの2種類があった。
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