ハイヤームのルバイヤートとは? わかりやすく解説

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ハイヤームのルバイヤート

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/26 08:11 UTC 版)

ウマル・ハイヤーム」の記事における「ハイヤームのルバイヤート」の解説

ハイヤームは、宗教的偏見との軋轢避け、『ルバイヤート」が出回らないように配慮した形跡があり、1200年代文献には、ハイヤームの名前を冠して記録されルバーイー一つとして残されていない1200年代になり、ようやく少数ルバーイーハイヤームという名前とともに現れる。 現在においても真偽定まらぬハイヤーム作のルバイヤート」の中で、真作とされる最古のものは13世紀初頭神学者ラーズィーの『クルアーン注釈書の中の一首と、神秘主義者ナジュムッディーン・ラーズィーの著作下僕たちを導く者』に登場する二首とされる。ほぼ間違いなくハイヤームとされるこうしたルバーイーには、「誰も本当のことは語らぬ、どこから来てどこに去るかを」、あるいは「何人も創造主意図分からぬ」という神による創造への懐疑如実に現れているが、その主調低音には、隠され世界から現れる、この存在という意味自体を知ることは誰にもできない1092年には、マリク・シャーばかりか大宰相ニザーム・アル・ムルク暗殺により、自身大きな後ろ盾失い、自らの内的な世界閉じこもる。無数の抑圧悲しみ感じ取り一瞬解放忘却求め、「ワイン」と「美女」を賛仰し、古代イラン栄光思いを馳せるしかしながら哲学的営為果てに彼がたどり着いた地点が、人間理解には限界がある、という根本的な懐疑世界であった可能性がある。哲学的思惟限界宗教的抑圧への深い絶望のなかで、「すべては、つかの間の、はかない、危ういものでしかない」という表現生まれたとすれば結果として、『ルバイヤート』の映し出す表現世界が、真な実在である神以外の事物は、すべて陽炎のものでしかない、と説く神秘家たちの表現世界重なり得るであろうハイヤーム優れた科学者であり、合理精神体現者ありながら、自らの信条本質吐露したと思われるルバイヤート』に、神という実在前にして自我滅却し去る神秘主義詩痕跡少なからず読み取ることができるのは、ルバーイーという詩形詩的経験一瞬閃き表現する優れた刑式であるという事実にも密接に関わっている。神以外のうつろな世界から、真な絶対的な実在である神のみ存在する世界没入することを目指す神秘主義者は、その修養過程で、人間の心の動きのなるままに神を見る段階達すとされる個々神秘家心象のままに、神が神秘家前に表出する体験表現するのに、ルバーイーは特に適した詩形でもあった。神の無条件的存在否定するにみえるハイヤーム激しく批判しているアッタールルバーイー作品古写本をみると、そこに、ハイヤーム優れた四行詩としてしられている詩が数点見出される、という研究者報告がある。刻々と変化する自らの神秘的境地ルバーイー表現したアッタールと、閉塞的な宗教風土での哲学的思惟感じたハイヤームとの接点ルバーイーという詩形通じて醇乎たる詩念をそのまま芸術へと高め能力にあったといえる

※この「ハイヤームのルバイヤート」の解説は、「ウマル・ハイヤーム」の解説の一部です。
「ハイヤームのルバイヤート」を含む「ウマル・ハイヤーム」の記事については、「ウマル・ハイヤーム」の概要を参照ください。

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