ドラムテクニックの特徴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/01 23:34 UTC 版)
「パット・トーピー」の記事における「ドラムテクニックの特徴」の解説
ドラムパターン「Take Cover」、「Colorado Bulldog」、「Mr. Gone」、「Temperamental」など、その個性的なリズムパターンは楽曲の顔とも呼べるほど特徴的である。 タイム感独特な間を持つためモタっていると勘違いされることもあるが、実際はタメているだけでインテンポである。例えば4/4拍子を「1・1・1・1」と均等に4等分にはせず、時に「1・1.1・0.9、1」のように割るなど3拍目を若干タメることがある。(「Green-Tinted Sixties Mind」や「Undertow」のサビ部分などで聴くことができる) ブレイク後にドラムが入る場合、小節の拍頭でシンバルを「ジャーーン」と叩かず、「(ン)ジャーーン」と若干後ろのタイミングで叩くことによって速めのテンポの曲でも重いグルーヴを感じさせている。 ダイナミクスダイナミックレンジがとても広く、小さな音量から大きな音量まで様々な音量を使い分ける。 ドラムソロでノッて来た際、通常のドラマーであればパワフルな演奏で続けていくのであろうが、パットの場合だと一旦引き音量をグッと落としてささやくような叩き方に変えることがある。 ゴースト(グレース)ノート「Colorado Bulldog」、「Addicted To That Rush」、「Mr. Gone」、「Temperamental」、「Shy Boy」などの曲ではリズムパターンにおいてスネアドラムによる繊細なグレースノートを多用している。 (●:実音、◎:グレースノート、○:休符) 「Colorado Bulldog」メインパターン 右手 ●○○ ●○● ●○○ ●○● (ライドシンバル) 左手 ○◎○ ●○◎ ○◎○ ●○◎ (スネアドラム) 右足 ●○○ ●○○ ●○○ ●○○ (バスドラム) 左足 ○○● ○○● ○○● ○○● (バスドラム) 「Addicted To That Rush」Aメロ部 右手 ●○ ●○ ●○ ●○ ●○ ●○ ●○ ●○ (ハイハット) 左手 ○○ ●◎ ○○ ●◎ ○○ ●◎ ○○ ●◎ (スネアドラム) 右足 ●○ ○● ○● ○○ ○● ○○ ●● ○○ (バスドラム) 「Shy Boy」サビ 右手 ●○●○ ●○●○ ●●●○ ●●●○ (ライドシンバル) 左手 ○○●◎ ○○●◎ ○○●◎ ○○●◎ (スネアドラム) 右足 ●○●○ ●○●○ ●○●○ ●○●○ (バスドラム) 左足 ○●○● ○●○● ○●○● ○●○● (バスドラム) 独自の手足コンビネーションフレーズ他のドラマーが手2発・足1つのコンビネーションフレーズを演奏する際、「右手・左手・足、右手・左手・足〜」若しくは「左手・右手・足、左手・右手・足〜」と必ず右手スタートまたは左手スタートとなるところを、パットの場合は「右手・左手・足、左手・右手・足〜」と都度右手スタートと左手スタートを入れ替えることにより独特なものとなっている。 右手 ●○○ ○●○ ●○○ ○●○ 左手 ○●○ ●○○ ○●○ ●○○ 右足 ○○● ○○● ○○● ○○● フィルロボンAlive And Kickin'の冒頭に登場するピックアップフィルインなど、パットが多用する「SD→TT→FF→BD」のフレーズは、パット自身が口ドラムで「フィルロボン」と表現している。パットはこのフレーズをやりたいがためにSDの真正面にTTをセッティングすると語っている。譜面的には、32分休符の後にSD→TT→FT(それぞれ32分音符)→BDである。(半拍3連でSD→TT→FTではない) タムタム ○○●○ ○○○○ (左手) スネアドラム ○●○○ ○○○○ (右手) フロアタム ○○○● ○○○○ (右手) バスドラム ○○○○ ●○○○ (右足) フットワークフットワークがかなり強力であり、キックドラムのダブルを踏む際にはスライドステップとダウンアップを使いこなす。かなりの速いダブルや連打の際も右足一本だけで踏んでいることもある。 また左足のダブルも得意で、ジョンボーナムのような頭抜き3連フレーズを左足だけでも演奏可能である。 両足を使い「右・左・左・右、右・左・左・右」と高速でバスドラムのダブルストローク・ロールを行う。 フットスプラッシュハイハットのヒール&トウ(フットスプラッシュ)をリズムパターンに組み込む。 2ndアルバムのレコーディングにおいてVoodoo Kissでこのテクニックを取り込むために毎日足が痛くなるまで練習を続けてできるようになったらしい。 その他、Take CoverやAlive And Kickin'、Mr. Gone、I Love You Japanなどにおいてもこのテクニックを使用している。 フットカウベル1999年〜2007年頃まではフットカウベルを使用し、左足でカウベルを踏んで演奏していた。 ドラムソロ時において左足のかかととつま先でハイハットとカウベルを踏み分け、そのまま残った両手と右足の3本でコンビネーションフレーズを演奏する。 Mr. Bigの曲ではライブではAddicted To That Rush、Alive And Kickin'などで使用し、スタジオアルバムではActual Size収録の「Cheap Little Thrill」で聴くことができる。 単純に4分音符で踏むだけではなく、オラシオ・エルナンデスや神保彰のように2-3クラーベを踏みながらソロをとることも可能である。 フットカウベル用のカウベルはまれにスティックで演奏されることもあり、テンパラメンタルのドラムパターンを左手でカウベルを叩いて演奏することもあった。 歌うドラムソロドラムソロをとりながら同時にビートルズナンバーを歌う。 1993年10月17日(日)大阪厚生年金会館公演において突如歌いながらドラムを叩きまくるというソロを披露し、オーディエンスはおろか他のメンバーにも衝撃を与えた。 歌のレパートリーは「Yesterday」、「Let It Be」、「The Long And Winding Road」の3パターンを持つ。 この際のドラムパターンは実際技術的にかなり難度の高いことをしており、キックドラムは「右・左・左、右・左・左〜」と踏み、左手はゴーストノートを多用している。(左足のダブルはスライド奏法により2打目でハイハットを閉じるなどちゃっかりとハイハットの操作までこなしている) 右手 ●○○ ●○○ ●○○ ●○○ 左手 ○●● ○●● ○●● ○●● 右足 ●○○ ●○○ ●○○ ●○○ 左足 ○●● ○●● ○●● ○●● ウォーキング・グルーヴライブ演奏での「Green-Tinted Sixties Mind」のギターソロ後半(5/8拍子の部分)を聴くとタンバリンが16分音符で鳴っているため、まるで手が3本もしくは4本あるように聴こえる。 しかし、このタンバリンは16分音符の裏だけを左手で、シンバルとスネアドラムを右手で叩いているというトリック。 これは教則ビデオ「Rock Groove Drumming」やクリニック等で紹介されていた「Walking Groove」というテクニックを応用したものである。 シンバル ●○ ●○ ●○ ○○ ●○ (右手) スネアドラム ○○ ○○ ○○ ●○ ○○ (右手) タンバリン ○● ○● ○● ○● ○● (左手) バスドラム ●○ ○○ ●○ ○○ ●○ (右足) ハイハット ●○ ●○ ●○ ●○ ●○ (左足) インプロビゼーションに対するアプローチパットはTake CoverやMr. Goneなどのリズムパターンのようにフレーズを緻密に作り上げることがある反面、インプロビゼーションで演奏することもかなり多い。 同じ曲であっても、年代ごとに曲に対するアプローチ、フレーズなどが少しずつ異なっている。 もっと言えば同じツアー内でもツアー前半と後半で違うことをやっていることがあり、毎日何かが変わっている。 ここがMR. BIGのライブ、そしてパットのドラムの大きな魅力の1つでもあるので、ぜひたくさんのライブ音源を聴いて楽しんでいただきたい。
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