トリンダージ島事件
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「未確認飛行物体」の記事における「トリンダージ島事件」の解説
「pt:Caso da Ilha da Trindade」も参照 1957年12月から翌年の1月にかけて、ブラジル海軍が国際地球観測年に向けての観測基地を南大西洋に浮かぶマルティン・ヴァス諸島のトリンダージ島に設営する際に、数回にわたり観測隊員や島民が円盤型の飛行物体や光を目撃したとされる伝達情報。日本のUFO愛好家の間では昔からあった有名な話であり、たびたび出版されている。出版物などで同島を「トリニダーデ島」と呼ぶが、正しい名称は「トリンダージ島」(Trindade、ポルトガル語であり綴りが異なる)である。トリニダーデ島(Trinidad、元来はスペイン語)とはカリブ海にあるトリニダード・トバゴの島であるので、誤訳といえる。超常現象としてのUFOの話にはこのような誤訳が多い。 この話はブラジル国内ではほとんど知られていないが、他国では書籍の写真を通して有名である。同島はブラジル東南部のエスピリトサント州の沖にあり、本土から1200キロメートル以上離れている。居住島民はおらず、海軍の駐在所と科学研究員の宿泊施設がある。 1958年1月1日にブラジル海軍長官と観測隊員が同島周辺を飛行する光体を目撃したとされた。同月15日と16日には海軍練習船アウミランチ・サウダーニャ号(Almirante Saldanha )が観測船として同島に接近したときに円盤型の飛行物体が出現したとされる。ただし、この目撃例は地球観測年だけのもので翌年以降はない。また、「公認のUFO写真」という有名な写真が海外の雑誌に出版されたが、ブラジル海軍は遭遇を認めていないので「公認」の写真ではない。 写真に写っている物体は湿った大気中を飛んでヴェイパーに包まれた飛行機という意見もあり、ツインボナンザという機種が似ていると研究されたが、特定されてはいない。写真は4枚の連続写真であり、一枚目は飛行機の側面から、二枚目以降は正面からとられたものと推測されている。一枚目はぼんやりと土星型に写っているが、二枚目以降はもっとはっきりとした円盤型に写っている。それが水蒸気に包まれた双発のプロペラ機を正面から見た形に似ていると指摘する研究者もいる。しかし最近のデジタル化した写真の分析により、二重露出で物体を写したものという意見が説得力をもっている。 写真を公表したのは海軍ではなく、同行したカメラマンであるアルミロ・バラウーナ(Barauna)であった。彼にはトリック写真を作る技術があり、この事件以前にも偽UFO写真を撮って「UFOに追いかけられた」というジョーク記事も書いたことがある。この件も面白そうな形に写った飛行機の写真を思わせぶりに見せただけだと考えられるが、結果として国外では大変有名になってしまった。ブラジル最大の新聞「オ・グローボ(ポルトガル語版)」は、バラウーナのいたずらと結論付けた。
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