デカルトの心身二元論とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > ウィキペディア小見出し辞書 > デカルトの心身二元論の意味・解説 

デカルトの心身二元論

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/25 02:00 UTC 版)

心身問題」の記事における「デカルトの心身二元論」の解説

デカルトは心を「私は考える」 (cogito) すなわち意識として捉え自由意志をもつものとした。一方身体機械的運動を行うものとし、かつ両者それぞれ独立した実体であるとした。ただし、このことは心と身体交流がないことを意味しないデカルト精神と脳の最奥部にある(とされた)松果腺動物精気血液などを介して精神身体とは相互作用すると主張している。 デカルトは、心身交流が「精神の座」としての松果腺(glans pinealis)において、動物精気媒介にして行なわれる考えた。しかしエリザベートは、こう鋭く質問した。 「 「全く物体性持たぬ精神が、いかように物体(身体)の運動決定するということは矛盾ではないのか。一物体の運動の決定は他の物体によって為される、従って後者前者と「接触」し且つ延長」を有するものでなければならないしかるに精神動物精気運動決定するという時には、それは物体直接働きかけるのであるから、「接触」は起こっているはずであるのに、今一つ条件たる「延長」は精神帰せられていない。これは不可解である。むしろ精神自体もある延長有するものとすべきではないか」 」 エリザベート批判は、まさに「等しきものは等しきものによって」説明されるべき限り心身相関関係において、心が身体影響を及ぼす以上、身体という物体物理的影響与えうるものはそれ自身精神(心)も何らかの物質的存在性を有さねばならないという正当な根拠に基づくものであるデカルトは、エリザベートにこう返書した。 「 「私は、嘘いつわりなく申し上げますが、王女様の御質問は、私が今まで出版した書物読んで後、私に対して発しうる最も理にかなった御質問であると思いますなんとなれば人間精神には二つのこと、一つ精神思惟すること、他は精神身体合一していて、それに働きかけ働かれる(agiretpatir)こと、が属するが、後者については私は殆んど何事も論じておらず、専心ただ前者について世人理解徹底努めてきたが、それというのも私の主たる目論見が、魂と肉体区別実証することにあったからです」 」 さてデカルトは、「思惟」と「延長」及び「心身合一」を三種の「原始的観念」とする。そして、「心身合一」の観念は、「思惟」や「延長」とちがい、それらに還元できない原始的なものであり、それの派生観念として「力」の観念がある。つまりデカルトは、形而上学的なレベルでは、心身分離テーゼ堅持し、日常的な生のレベルでは、心身合一テーゼ是認するのであるデカルトは、心身問題を「心において受動(情念)なるものは、身体においては一般に能動である」という立場から,『情念論』』(les Passions de l'Ame)で主題的に論及している。『情念論』が、心身実在的区別心身相互作用とがどうして矛盾ではないのかという難問解決になっていないにしてもデカルト心身問題人間存在情念(Passion)に、即ち感情解決方向見出したことは、それ以後の展開考えると示唆的である。 機械論唯物論機械論」も参照 デカルトによる生命機械論的解釈をさらに徹底化させたラ・メトリー(1709年 - 1751年)ら機械論唯物論見地立てば感情などの心の現象生物学化学的な作用であるため、心と体という分離自体ナンセンスである――なぜなら、「心」は「体」の脳の機能によって発生したのである以上、心は独立した実体などではなく、脳によって作り出されたものであるから――とされる

※この「デカルトの心身二元論」の解説は、「心身問題」の解説の一部です。
「デカルトの心身二元論」を含む「心身問題」の記事については、「心身問題」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「デカルトの心身二元論」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「デカルトの心身二元論」の関連用語

デカルトの心身二元論のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



デカルトの心身二元論のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの心身問題 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS