ターミナルと飛行機との接続
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/26 13:52 UTC 版)
「空港ターミナルビル」の記事における「ターミナルと飛行機との接続」の解説
初期の空港旅客ターミナルは、ターマック(アスファルトやコンクリートなど)で舗装された駐機場に直接面して建っていた。旅客はターミナルビルを出て飛行機まで歩き、タラップを昇って搭乗していた。ターミナルから徒歩やバスで飛行機に向かうスタイルは、今でも小さな空港ではよく見られる。また、大空港でも、ターミナルから離れたところに駐機している飛行機(船舶の係留に倣い、通称「沖止め」とも)までバスで移動させられることはよくある。 より多くの乗客がバスに乗り換えたりタラップを昇り降りすることなく、ボーディングブリッジを使ってターミナルビルから直接飛行機に搭乗できるようにするには、コンコースなどの建築物に面したスポットを一つでも多く増やす必要がある。このため、ターミナルビルやコンコースの設計にあたり、様々な構造上の工夫が行われている。 ピア方式は、ゲートラウンジ(待合室)やゲート、手荷物を受け取るバゲージクレイム(英語版)などのあるターミナル本館から、桟橋(ピア)のような細長いコンコースの建物が駐機場に突き出し、その両側に飛行機の搭乗口を確保するものである。フィンガーと呼ぶところもある。ピア方式は多くの飛行機を駐機できる上に構造もシンプルなため多くの空港が採用しているが、旅客はチェックインカウンターからピアの先端にある搭乗口まで延々と歩かされることになる。 サテライト方式は、ターミナル本体から離れたコンコース(サテライト)が駐機場の中にあり、飛行機はこのサテライトの全方向に駐機することができる。この方式を最初に採用したのはロンドン・ガトウィック空港であった。円形のコンコースは旅客アクセス用のトンネルを備え、コンコース外周を全て駐機スペースとした。動く歩道を用いてターミナル本体とサテライトを繋いだのはタンパ国際空港が最初であった。ターミナル本体「ランドサイド」からサテライト「エアサイド」へとピープルムーバーが伸びる方式は、今日のターミナル設計の標準の一つとなっており、近年、多くの大規模ターミナルがサテライト方式を採用している。ただしロサンゼルス国際空港のように当初はサテライト方式を用いたが、便数の増大に伴い、後にピア方式に改造された例もある。 ターミナルビルの形状が扇形(半円形)になっているものもある。タクシーやバスは扇の内側に停車し、扇の外側に飛行機が駐機する。扇の外側は円周が長いため、たくさんの搭乗口を設置することが可能である。このデザインでは、航空便を乗り継ぐ場合は扇形の端から端まで延々移動させられる場合もあるが、空港エントランスからカウンター、搭乗口までの歩行距離が短くすむ。このタイプにはシャルル・ド・ゴール国際空港ターミナル2、ダラス・フォートワース国際空港、新千歳空港などがある。 その他、珍しいタイプのターミナルデザインには、待合室自体が自走できる「モバイル・ラウンジ」というものがある。旅客はターミナルビルにドッキング中の車両に設けられた待合室に集まり、この車両がビルから切り離されて飛行機まで自走し、飛行機にドッキングするという仕組みになっている。ワシントン・ダレス国際空港、モントリオール・ミラベル国際空港、メキシコ・シティ国際空港(一部)がこの方法を用いている。このラウンジ部分は上下にも動き、走行中は低くして安定性を増し、建物や航空機につけられるときはその乗降口に応じた高さとなる。 関西国際空港の第1ターミナルではウイングがターミナル本体から1km近く伸びているため、ターミナル内にウイングシャトルと呼ばれる新交通システムが走り、旅客が歩く距離を抑えている。 詳細は「自動案内軌条式旅客輸送システム#空港内移動路線」を参照
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