スペースガードとは? わかりやすく解説

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プラネタリーディフェンス

別名:スペースガード
英語:planetary defense

天体地球へ衝突を防ぐ試みプラネタリーディフェンスカンファレンスPDC)が組織名にその名を冠している。

スペースガード

高まるNEOへの関心「スペースウォッチ望遠鏡」の開発が引き金に

地球衝突する可能性のある小天体(地球近傍(きんぼう)小惑星NEO)の検出効率よくおこなうために、1989年アメリカでスペースウォッチ望遠鏡」というNEO検出専門とする望遠鏡開発されました。それまで18個の存在確認されいただけNEOが、スペースウォッチ望遠鏡によって、毎年3050個が検出され1996年には400個を超すまでになりました
さて、望遠鏡開発されたその年、1989年検出成果一つに、「1989FC」と名づけられた小天体の発見ありました。「1989FC」は、地球と月の距離半分という近いところをかすめていったのです。また、1990年にはチクシュルーブ・クレーター(恐竜絶滅させたと考えられる隕石の落下跡。メキシコ・ユカタン半島北部)が発見されたこともあり、天文学者をはじめNEO対す関心急速に高まりました

地球に小天体のイメージ図
地球小天体のイメージ図

NEOの検出や研究の国際専門組織『国際スペースガード財団』(International Spaceguard Foundation)発足へ

NEOへの関心が高まるなか、アメリカはすぐに「NEO検討委員会」を設立、そして1994年7月木星衝突したシューメーカー・レビー第9彗星発見される及んで国際天文学連合(IAU)を中心にしたNEOに関する数多く国際会議(スペースガード計画)が開かれるようになりました
しかし、国際会議回数重ねにつれてさまざまな制約などのためにこのままIAUの中でスペースガード計画推進することには限界があるという結論達し新しくNEO検出研究支援する専門組織として、1996年3月正式に国際スペースガード財団」の発足決定しました本部イタリアローマ置かれました。

日本スペースガード協会(Japan Spaceguard Association)の活動

日本スペースガード協会は、大学国立研究所科学者中心に1996年6月設立されました。
地球接近しそう天体発見監視に関する情報社会的共有を図る」ことを活動のおもな目的とし、国際スペースガード財団各国のスペースガード協会とも連携協力して活動推し進めていくことを掲げてます。
また、協会では公開講演会シンポジウムの開催インターネット通信機関誌あすてろいど」の発行などにより、積極的な情報交流実施してます。


スペースガード

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/26 06:17 UTC 版)

2013年初頭時点の、潜在的に危険な小惑星(大きさが140メートル (460 ft) 以上、地球軌道から7.6 millionキロメートル (4.7×10^6 mi)以内を通過)の軌道のプロット(代替画像)

スペースガード(Space Guard)とは、地球に衝突する恐れのある地球近傍天体(NEO)を発見・観測及び、衝突に関する研究を行うことである[1]

名称や計画内容は、アーサー・C・クラークが著した長篇SF小説宇宙のランデヴー』に登場する同名の計画に因んでいる。

観測された地球近傍天体(NEO)数の時系列グラフ
観測設備・年毎のNEO観測数グラフ

2000年頃に国連で議論され始めてからプラネタリーディフェンス(Planetary defense)という名称も普及しており、基本的には同じ意味で使われる[2][3]

組織

スペースガード計画において統括的な役割を果たしているのは、イタリアフラスカーティに本拠を置くNPO、スペースガード財団(The Spaceguard Foundation)である。1994年、木星に天体が衝突した事件を受けて地球でも起こりうるとの危機感が高まり[4]、同年国際天文学連合第22回総会でなされた報告において地球近傍の物体の観測を統括する国際的な組織の必要性が提言され、それを受けて1996年に設立された[5]

同財団との協力のもと、スペースガード計画は各国で実施されている。日本、アメリカ、オーストラリア、フィンランド、イギリス、ドイツ、イタリアの7か国が協力して観測を行っている。各国に組織されたスペースガードセンターでは各中央天文台や宇宙開発機関からの支援を受けて、観測所を設置し、現在観測を実施している。

日本

日本では、宇宙航空研究開発機構等からの支援を受けた日本スペースガード協会が観測を行っている。NEOのほか、宇宙活動の結果として宇宙空間を彷徨うスペースデブリの監視も行っている(宇宙状況認識)。岡山県美星スペースガードセンター(光学観測)・上斎原スペースガードセンター(レーダ観測)を設置運用している[6]。光学式の場合には、主に地球近傍へ接近する小惑星彗星等の軌道を求めることを目的として、広視野角を持つ望遠鏡複数台によって、観測が実施されている。電波式観測装置は、フェーズドアレイレーダー技術を用いた観測装置となっており、この観測はスペースデブリの位置をつきとめることが目的である。

また、宇宙航空研究開発機構は2024年4月に専門チーム「プラネタリーディフェンスチーム」を設置し、約30人(小惑星探査や軌道計算の研究者など)を配置している[7]欧州宇宙機関アポフィス (小惑星)の地球接近約2か月前に探査機「ラムセス」を送り込む計画に対して熱赤外線カメラなどの開発で連携する[8]

小惑星の軌道変更実験

NASAは2022年に二重小惑星ディディモス・ディモルフォスのうち、衛星のディモルフォスに探査機DARTを約6km/sの速度で衝突させる実験に成功し、約12時間あった公転周期が30分程短くなる影響を与えた。

過去の天体衝突や隕石の飛来

参考文献

脚注

注釈

出典

  1. ^ 浦川聖太郎 他 (2013年). “スペースガード観測の現状”. 日本惑星科学会誌 Vol. 22, No. 4. 日本惑星科学会. 2019年6月12日閲覧。
  2. ^ 2021年度プラネタリーディフェンス・シンポジウム(第31回スペースガード研究会) 2022.2.14 プラネタリーディフェンスの概要説明”. 日本スペースガード協会. 2024年11月16日閲覧。
  3. ^ プラネタリーディフェンス | 天文学辞典”. astro-dic.jp (2022年10月25日). 2024年11月16日閲覧。
  4. ^ 人類のピンチ? 天体衝突を回避せよ、2017年5月31日クローズアップ現代放送、2019年7月15日閲覧
  5. ^ スペースガード財団、Brief history of the Spaceguard Foundation(英語)
  6. ^ 日本スペースガード協会、観測施設 - スペースガードセンター -
  7. ^ 小惑星衝突から地球を守れ、強まる国際連携 米欧は共同実験 JAXAも専門チーム”. 産経ニュース. 産経新聞 (2025年2月16日). 2025年5月26日閲覧。
  8. ^ 『小惑星衝突から地球守れ 軌道変える技術の確立めざす』 2025/05/25 日本経済新聞 朝刊26面

関連項目

外部リンク


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