コースの設計
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/13 05:55 UTC 版)
ゴルフ場(ゴルフコース)の特性を出すには、とりわけゴルファーたちが苦手意識を持つバンカーや池を、コースのどの位置に設定するか、グリーンの大きさ、フェアウェイの幅の広さ、ラフ(フェアウェイを外した場所)の芝の深さをどのくらいにするか、など様々な要素が関係している。 カップが置かれるグリーンひとつを取ってみても、傾斜がひとつひとつ異なっている。その時々の風の向きや強さも違うため、ゴルフ場のコース・コンディションに1つとして同じものはない。競技者の見えない場所にトラップを配置するようなトリッキーなレイアウトもあれば、一見したところ平易に見えるものの巧妙に落とし穴が配置されている場合もある。例えば立ち木の枝ひとつが巧妙にボールの飛行線上に張り出している、などといった「簡にして妙」なレイアウトは、設計者対競技者という試合そのものとは別の闘いを演出し、それがゴルフという競技の奥深さの一要素となっている。 設計者が競技者に対して仕掛ける技巧の一つに、視覚のマジックがある。グリーンに向いて両脇から中心に向って背丈の低い/高い樹木を配置することにより実際よりも遠くもしくはより近くに錯覚させる手法や、ティーグラウンド上のマーカーを微妙にずらしたりティーグラウンドに僅かな傾斜を付けたりすることを通じて競技者が無意識のうちに危険な方向に打ち出すよう仕向けたりする手法などが、一般によく知られている。或いはまた、ハザード(バンカー・池など)や樹木の相互の位置関係を通じて如何に競技者の心理に必要以上のプレッシャーを掛けるか、といった点もレイアウト上の重要な考察要素である。 これら千差万別なレイアウトのゴルフコース間でスコアの客観的評価を容易ならしめるために、コースレートが設定される。 プロスポーツ・競技としてのゴルフや上級者向けに難易度の高いゴルフ・コースが珍重される一方で、初心者用や接待用にあえて難易度を抑えたレイアウトのコースもあり、設計はすなわち、「どのような利用層を想定したゴルフ場とするか」という運営側の経営理念と表裏一体であると言うことができる。 またホールには単に競技上の難易度を盛り込むだけでなく、森林・山岳・河川・湖沼・海岸・荒野・田園・神社仏閣など、土地の風物を借景として如何に配置するかが、設計者の腕の見せ所であり醍醐味でもある。これらの巧みな仕掛けが、元々の地形や環境をできるだけ活かした上で設計されていることも真価を図る尺度の一つとなると言ってよい。
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