γ-ブチロラクトン
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/27 21:18 UTC 版)
γ-ブチロラクトン[1] | |
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ジヒドロフラン-2(3H)-オン |
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別称
GBL, ブチロラクトン, 1,4-ラクトン, 4-ブチロラクトン
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識別情報 | |
3D model (JSmol)
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ChEBI | |
ChEMBL | |
ChemSpider | |
DrugBank | |
ECHA InfoCard | 100.002.282 |
IUPHAR/BPS
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KEGG | |
PubChem CID
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RTECS number |
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UNII | |
CompTox Dashboard (EPA)
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特性 | |
化学式 | C4H6O2 |
モル質量 | 86.089 g/mol |
外観 | 無色の液体 |
密度 | 1.1286 g/mL (15 °C) |
融点 | -43.53 °C, 230 K, -46 °F |
沸点 | 204 °C, 477 K, 399 °F |
水への溶解度 | 混和性 |
危険性 | |
労働安全衛生 (OHS/OSH): | |
主な危険性
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有毒、可燃性 |
GHS表示: | |
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Danger | |
H302, H318, H336 | |
P264, P270, P280, P301+P312, P305+P351+P338, P403+P233, P501 | |
NFPA 704(ファイア・ダイアモンド) | |
引火点 | 98 °C (208 °F; 371 K) (closed cup) |
455 °C (851 °F; 728 K) | |
爆発限界 | 3.6% v/v (lower) 16% v/v (upper) |
致死量または濃度 (LD, LC) | |
半数致死量 LD50
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1540 mg/kg (経口, ラット) >5640 mg/kg (皮膚, ウサギ) |
半数致死濃度 LC50
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>2.68 mg/kg (ラット, 4 時間) |
安全データシート (SDS) | Fisher Scientific |
法的状態 | |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |

γ-ブチロラクトン(ガンマブチロラクトン、英: Gamma-Butyrolactone、略称: GBL)は化学式C4H6O2で表されるラクトンの一種である。水に可溶であり、独特の臭気を有している無色の液体である。化学の分野では有機溶媒や試薬として使われる。他にも臭気物質や染み抜き剤、接着剤や塗料のはがし剤としても用いられる。消防法に定める第4類危険物 第3石油類に該当する[3]。
自然発生
GBLは混じり物なしの純粋なワインからも見つかることがある。これはGBLがワイン中で自然に生成してくるということを示している。ただし、通常は検出される量が約5μg/mLであり、一般的な液液抽出とGC-MSによる解析で容易に検出できる。
製造
GBLはγ-ヒドロキシ酪酸(GHB)を原料にして合成される。また収率は80%以下であるが、テトラヒドロフランの酸化により生成することも明らかとなっている[4][5]。臭素酸ナトリウムを用いる場合は、硫酸水素カリウムを用いてin situ で発生させた臭素がTHFと反応していると考えられている[5]。
反応
GBLはラクトンであるため、他のエステルと同様の加水分解を受ける。またリンと臭素を用いα位を臭素化した化合物は、クロトノラクトン合成の前駆体となる[6]。
毒性
ヒトをはじめとする哺乳動物に対して、眠気やめまいを催す作用があるほか、長期摂取により臓器に障害を与える。 また、水性生物に毒性がある[7]。
脚注
- ^ Merck Index, 12th Edition, 1632.
- ^ Anvisa (2023年3月31日). “RDC Nº 784 - Listas de Substâncias Entorpecentes, Psicotrópicas, Precursoras e Outras sob Controle Especial” [Collegiate Board Resolution No. 784 - Lists of Narcotic, Psychotropic, Precursor, and Other Substances under Special Control] (ポルトガル語). Diário Oficial da União. 2023年8月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年8月16日閲覧。
- ^ 法規情報 (東京化成工業株式会社)
- ^ 浅野泰資「THF, γ-ブチロラクトンの製造技術の発達について」『有機合成化学協会誌』第36巻第2号、有機合成化学協会、1978年、146-155頁、doi:10.5059/yukigoseikyokaishi.36.146。
- ^ a b Metsger, L.; Bittner, S. Autocatalytic Oxidation of Ethers with Sodium Bromate, Tetrahedron 2000, 56, 1905-1910, DOI: 10.1016/S0040-4020(00)00098-3
- ^ Charles C. Price, Joseph M. Judge (1965). “γ-CROTONOLACTONE”. Organic Syntheses (英語). 45: 22.; Collective Volume, vol. 5, p. 255
- ^ 厚生労働省 安全衛生情報センター 職場の安全サイト
関連項目
- γ-ヒドロキシ酪酸 (GHB)
- 1,4-ブタンジオール (1,4-B)
- ガンマブチロラクトンのページへのリンク