ウノチヒコとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > ウノチヒコの意味・解説 

ウノチヒコ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/08/25 13:06 UTC 版)

宇乃治比古命

全名 宇乃治比古命(ウノチヒコノミコト)
別名 宇能治比古命、宇能遅比古命、宇能遲比古命
神格 海神水神
須義祢命
神社
  • 宇能遲神社
  • 海潮神社
記紀等 出雲国風土記
テンプレートを表示

ウノチヒコ(宇乃治比古、宇能治比古、宇能遅比古)は、日本神話に登場するウノジヒコ歴史的仮名遣ウノヂヒコ)ともする[1]

概要

『出雲国風土記』楯縫郡の沼田郷条、大原郡の海潮郷条に登場する。親神としてスガネが伝わる[1][2]

記述

出雲国風土記

楯縫郡

沼田郷。郡家の正西八六十にある。宇乃治比古命が、「湿地の水を使って乾飯を柔らかくして(=にたに)召しあがろう」と発言なさって、その地に尓多(にた)の名をお与えになった。こういうわけなので本来は尓多の郷となるべきだが、現在の人は努多(ぬた)と言っているだけである。神亀三年に字を沼田とした。[1]

大原郡

海潮郷。郡家の正東十六里三十三歩にある。古老の伝えるところによると、宇能治比古命が御祖である須義祢命を恨んで、北方の出雲の海水を押し上げてきて、御祖の神を漂わせたところ、海水がここまで来た。ゆえに得塩(うしお)となった。神亀三年に字を海潮とした。[1]

考証

神名のウは「海」、チは「神霊」の意で海や水の神であり[3][4]、「海(う)の霊(ち)」[3][5]と解釈されている。海水が押し上げられたとする記述は伝説の域を出ないと見る説[3]がある一方、出雲大社近くの日本海の水が高潮などによって海潮川(現:刈畑川)を逆流してくる現象への畏怖を反映させているとする説[6]や、海潮郷にある赤川の氾濫による被害が伝承となった、あるいは同郡記事に載る船岡山の記述[注 1]から、かつて発生した津波によって押されてきた赤川の水や打ち上げられた船の様子をもとにして教訓のように伝えられていたと考える説[2]もある。

祀る神社

  • 宇能遲神社(島根県雲南市加茂町宇治) - 主祭神
    • 式内社の宇能遲神社に比定される。大正時代まで斐伊川の下流を行き来した高瀬舟の寄港地に位置しており、舟運を守護する神として斐伊川下流にある出雲郡の海の神が祀られたのではないかとの推測がある[5]。『出雲国風土記』大原郡の神祇官社である宇乃遅社に比定される[1]
  • 海潮神社(島根県雲南市大東町南村) - 主祭神
    • 式内社の海潮神社に比定される。中世以降、鎮座地の字名を冠して「大森明神」もしくは「大森大明神」と呼ばれていたが、明治5年に『延喜式』に載る社名へ改称した[7]。『出雲国風土記』大原郡の神祇官社である得塩社に比定される[1]

脚注

注釈

  1. ^ 阿波枳閇委奈佐比古命の神話を載せる。

出典

  1. ^ a b c d e f 中村 2015, pp. 171, 216–218, 262, 293.
  2. ^ a b 島根県古代文化センター 2014, pp. 222–223, 225–228.
  3. ^ a b c 高藤 1970, pp. 275–276.
  4. ^ 植垣 1997, p. 263.
  5. ^ a b 加藤 1983a, p. 729.
  6. ^ 中川 2010, p. 70.
  7. ^ 加藤 1983b, p. 779.

参考文献

関連項目

外部リンク




英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  
  •  ウノチヒコのページへのリンク

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ウノチヒコ」の関連用語

1
スガネ 百科事典
6% |||||

ウノチヒコのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ウノチヒコのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのウノチヒコ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS