もんてかるろほうとは? わかりやすく解説

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モンテカルロ‐ほう〔‐ハフ〕【モンテカルロ法】


モンテカルロ法


モンテカルロ法

読み方:もんてかるろほう
【英】:Monte Carlo method

概要

乱数使って実験する方法のこと. 第二次世界大戦中原爆開発に関する極秘プロジェクトを示す符丁として, フォンノイマン等がカジノ有名なモンテカルロ因んで命名したとされている.本来は, 確率的な変動含まない問題を解くのに乱数利用する方法のことであったが, 現在では乱数を使う実験総称として使われることが多い.

詳説

 システム特性値などを推定するために, 適当なモデル乱数使って実験し, 大数の法則中心極限定理などを利用して推測を行う方法のこと. システム確率的な変動内在する場合だけでなく, 確定的な問題を解くためにも使われる.

 モンテカルロ法原理簡単な例で示そう. 推定した特性値\theta \,とし, これは既知分布関数 F(y) \,を持つ確率変数 Y \,関数 g(Y) \,平均値等しいものとすれば,



\theta = E[g(Y)]=\int_{-\infty}^\infty g(y)\mathrm{d}F(y) =
\int_0^1 h(u) \mathrm{d}u, \,


と書ける. ただし, h(u)=g(F^{-1}(u)) \,である. そこで, 区間[0,1]上の一様乱数 U_1, U_2, \cdots, U_N \,発生し, 算術平均



A_1(N) = \sum_{i=1}^N h(U_i)/N \,


\theta \,推定値とすることが考えられる. A_1(N) \,\theta \,不偏推定量であり, 分散


V(A_1(N)) = \frac{\sigma^2}N, \ \ \ \ \ 
\sigma^2 = \int_0^1 h^2(x) \mathrm{d}x-\theta^2 \,


となる. したがって, 推定量 A_1(N) \,含まれる誤差標準偏差\sigma/\sqrt N \,であり, 精度十進で1桁上げるためには, サンプルN \,10倍に増やさなければならない. このように, モンテカルロ法の収束は遅いので, これを改善するための方法種々提案されており, 分散減少法総称されている. ただし, これらは 1/\sqrt N \,というオーダー改善するものではなく, 比例係数小さくするための工夫である.

重点サンプリング

 積分区間から一様にサンプルをとるのではなく, 重要と考えられる部分(h(x) \,絶対値大き部分)により多く重みをおく密度関数w(x) \,に従う乱数X_1,\cdots, \ \ X_N \,発生し,



A_2(N) = \frac 1 N \sum_{i=1}^N \frac{h(X_i)}{w(X_i)} \,


\theta \,推定する. w(x) \,\left| h(x) \right| \,比例するように選べれば分散最小となるので, なるべくそれに近くなるように工夫する.


制御変量法

 \theta \,対するひとつの不偏推定量Y \,とする. Y \,相関があって平均値\zeta \,既知確率変数Z \,のことを, Y \,制御変量という. \alpha \,定数として



Y_\alpha = Y-\alpha(Z-\zeta) \,


と定義すれば, Y_\alpha \,\theta \,不偏推定量となり, その分散は\alpha^* = \mathrm{Cov}(Y, Z)/V(Z) \,のとき最小となり, 最小値



V(Y_{\alpha^*})=(1-\rho^2)V(Y) \,


である. ここで\rho \,Y \,Z \,相関係数であるから, Y \,相関の強い制御変量を選ぶほど効果的である.

 定積分の例では, h(u) \,に近い関数h_0(u) \,で, その積分の値\zeta \,正確に計算できるものを選び,



Y_\alpha = h(u)-\alpha(h_0(u)-\zeta) \,


に対して単純な一様サンプリング適用する.

負相関変量法

 \theta \,不偏推定量Y \,平均値が同じで負の相関を持つ変量Z \,利用して, W=(Y+Z)/2 \,\theta \,推定量とする. この分散は, Y \,に対して2回独立サンプルをとって平均する場合分散より小さくなる. 定積分の例では, もしh(u) \,単調な関数ならば, Y=h(U),\;\;\;Z=h(1-U) \,とするとよい.

共通乱数法

 二つ特性値\theta,\phi \,それぞれ確率変数X,Y \,に関するモンテカルロ実験によって推定し, 比較したいものとし, \theta=E[X], \phi=E[Y] \,とする.



V(X-Y)=V(X)+V(Y)-2 \mathrm{Cov}(X,Y) \,


であるから, {\mathrm{Cov}}(X,Y) \,大きいほど推定精度良くなる. X \,Y \,分布関数それぞれF,G \,とし, X \,Y \,逆関数法作るものとする. このとき, X \,Y \,用に別々の一様乱数列を使う代りに, ひとつの乱数列\{U\} \,使って, X=F^{-1}(U), Y=G^{-1}(U) \,とすれば, \mathrm{Cov}(X,Y) \,最大となる. これが共通乱数法の原理である.



参考文献

[1] 伏見正則, 『確率的方法シミュレーション』(岩波講座 応用数学), 岩波書店, 1994.

[2] G. S. Fishman, Monte Carlo-Concepts, Algorithms, and Applications, Springer, 1996.

[3] A. M. Law and W. D. Kelton, Simulation Modeling and Analysis, 2nd. ed., McGraw-Hill, 1991.



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