【BTR-80】(びーてぃーあーるはちじゅう)
ロシア陸軍で運用されている装輪式装甲車。BTR-70の改良型に当たる。
1984年に開発が開始され、1987年にソ連陸軍の自動車化狙撃師団に部隊配備が開始された。
BTR-60PBからの改造に過ぎなかったBTR-70に対し、大幅な改良が施されている。
エンジンは120馬力のガソリンエンジン2基から260馬力のディーゼルエンジン1基に改められた。
兵員室は、天井がやや高くなり容積が増加したほか、BTR-70では逆三角形の小型のもので実用性に欠けた側面ハッチは、上部にもハッチを追加して大型化している。
そのため、ハッチ上部は前方向に、ハッチ下部は真下に開く、やや複雑な構造になっている。
砲塔は、KPVT 14.5mm機関銃とPKT 7.62mm機関銃を各1丁装備したものが搭載されるが、アフガン侵攻戦で高所から攻撃されて被害を蒙った戦訓から、機関銃の最大仰角を+80度まで拡大している。
また、砲塔後部には902B発煙弾発射機「トゥーチャ(黒雲)」を6基装備している。
スペックデータ
乗員 | 2名+兵員9名 |
全長 | 7.65m |
全高 | 2.46m |
全幅 | 2.9m |
戦闘重量 | 13.6t |
懸架・駆動方式 | 8輪駆動 |
エンジン | KAMAZ-7403 4ストロークV型8気筒液冷ディーゼル×2基(出力260hp) |
登板力 | 50% |
超堤高 | 0.5m |
超豪幅 | 2.0m |
最大速度 | 90km/h(整地) 60km/h(不整地) 10km/h(水上) |
行動距離 | 600km |
装甲 | 車体前面:8~10mm 砲塔前面:6mm |
携行弾数 | 500発(14.5mm機銃)/2,000発(7.62mm機銃)/2発(9K34) |
兵装 | KPVT 14.5mm重機関銃×1挺 PKT 7.62mm機関銃×1挺 9K34「ストレラ-3(SA-14「グレムリン」)」携帯式地対空ミサイル発射機×2基 |
派生型
- BTR-80(GAZ-5903):
前期生産型。
- BTR-80A:
1995年から配備が開始された歩兵戦闘車型。ハンガリー陸軍が少数採用している。
砲塔を大型化し、外装式に2A72 30mm機関砲を搭載している。
- BTR-80K:
指揮車型。
- BTR-80AK:
A型の指揮車型。
- KM-80またはBTR-80 PBKM:
指揮車両型。
- BTR-80S:
BTR-80Aの2A72 30mm機関砲をKPVTに再換装した型。
- BTR-80UM:
ウクライナで開発された発展型。
- BTR-82:
2009年に登場した最新型。
対地雷性能の向上、新型暗視装置やGLONASS端末の搭載、300馬力のエンジンへの換装などの改造が行われており、以前のタイプよりも大幅に性能が向上している。
- BREM-K:
装甲回収車型。
- 1V118:
砲兵観測車型。
- RKhM-4:
NBC偵察車型。
- BMM-80:
装甲救急車型。
- PU-12M6:
対空指揮車両型。
- 2S23「ノーナSVK」:
自走迫撃砲型。2S9「ノーナS」の2A60 120mm直射・迫撃両用砲塔を搭載している。
- BTR-94:
ウクライナで開発された発展型。詳しくは項を参照。
- GAZ59032:
民間向けモデル。天井をさらに高くして、10名が乗車することが可能。
- GAZ59037:
極地・寒冷地調査用の民間向けモデル。暖房設備・物資輸送フォームを搭載。
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