中秋の名月
「中秋の名月」とは、旧暦の8月15日の夜に見られる美しい月のことを意味する表現。
「中秋の名月」とは・「中秋の名月」の意味
「中秋の名月」とは、旧暦の8月15日の夜に見られる一年で最も美しいとされる月のことを指す。現在の暦である「太陽暦(たいようれき)」が採用されるよりも以前の日本では、月の満ち欠けを基に季節を反映した「太陰太陽暦(たいいんたいようれき)」という暦を採用しており、それが旧暦とも呼ばれる。旧暦では現在の7、8、9月を秋としており、その真ん中にあたる8月15日を「中秋」と呼んだ。秋の真ん中を意味するが、秋中の名月とは表現しない。この時期は湿気が少なく空気が澄んでおり月の高さもちょうど良い位置にくるため、一年で最も月が美しいとされる。旧暦は月の満ち欠けを基としていたが、現在の太陽暦は太陽の動きを基に作られているためこの2つの暦は一致しない。旧暦は新月を1日とし、満月になりまた欠けていくまでの約29.5日を1か月としていた。しかし現在の1年は365日あり、29.5日を12か月で1年が354日となる旧暦とは異なるため、実際の中秋の名月は毎年同じ日にはならず9月中旬から10月上旬ごろにやってくる。また、月の満ち欠けが正確に15日とは限らないことや地球を周回するスピードが一定ではないことから、中秋の名月に満月とならない場合も多い。
中秋の名月にはただお月見をするだけでなく、供え物をするという習慣がある。準備するのは「お月見団子」「ススキ」「里芋などの芋類」などが一般的。団子は地域によりそれぞれ特徴があり、オーソドックスな丸い形の団子ばかりではない。静岡県の一部では平たくして真ん中をへこませへそのような見た目をした「へそもち」、沖縄では「フチャギ」といわれる豆もちが供えられる。地域によっては「お月見どろぼう」という風習もある。何をするのかというと、近所の家庭を子どもたちが回り中秋の名月に供えられた食べ物を盗み食いするというものである。この日だけは盗み食いが歓迎され、家庭によって子どもが好むと思われる菓子類を準備することもある。
中秋の名月は「十五夜(じゅうごや)」や「芋名月(いもめいげつ)」とも呼ばれる。十五夜という言葉も旧暦に由来しており、本来は旧暦で8月に限らず毎月15日のことを指すが、現在では中秋の名月を指すものとして使用されることが多い。十五夜といえば秋のお月見というイメージから、旧暦の8月15日ちかくに「十五夜キャンペーン」や「十五夜祭」などお月見にちなんだイベントが開催される場合がある。芋名月は里芋が収穫される時期に新芋を供えた風習に由来し、旧暦の8月15日を指す。他にも栗を供える「栗名月(くりめいげつ)」や大豆を供える「豆名月(まめめいげつ)」などがある。栗名月と豆名月は「十三夜(じゅうさんや)」とも呼ばれ、十五夜に次いで月が美しいとされるこの日にもお月見をする風習がある。十三夜は旧暦の9月13日を指し、満月ではない。少し欠けて完全ではない月も美しいと愛でるこの風習は、日本独自のものであるとされている。
「中秋の名月」の読み方
「中秋の名月」は、「ちゅうしゅうのめいげつ」と読まれる。「仲秋」も同じく「ちゅうしゅう」と読まれるが、こちらは旧暦の8月全体を指すため区別される。「中秋の名月」の語源・由来
「中秋の名月」は旧暦の8月15日が秋の真ん中とされたことに由来する。旧暦での秋は7、8、9月とされており、その時期は月の高さがちょうど良く空気も澄んでいて月が1年のうちで最も美しく見える条件がそろっている。その月が最も美しく見える時期の真ん中にくる日が8月15日であったことからこの日が「中秋」といわれるようになった。中秋の名月に行われるお月見の風習は、中国より伝わったとされる。家族が集まり月を眺めながら食事をし幸せを願う「中秋節(ちゅうしゅうせつ)」という伝統行事が平安時代に日本へ伝わり、貴族の間で月を眺める優雅な宴として広まった。中秋の名月
ちゅうしゅう‐の‐めいげつ〔チユウシウ‐〕【中秋の名月】
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