その他の古典的方式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 03:59 UTC 版)
いずれも前輪独立懸架向けの手法である。 横置きリーフスプリング 半楕円式のリーフスプリングを上下二段に重ねて配置し、スプリングの両端でハブを支持する方式。アメデー・ボレーの蒸気自動車で採用された最も古い独立懸架。既存技術を応用できる板ばねのみで構成された構成のため、1930年代の前輪独立懸架普及初期には多用された。ダブルウィッシュボーンに似ているが、スプリングのみの柔構造な支持で剛性に乏しく、補剛材を加える手法などで改良されたものの、1960年代までに廃れた。なお紛らわしい形態として、ウィッシュボーンに1段の横置きリーフスプリングを組み合わせたレイアウトのサスペンションがあるが、その場合はウィッシュボーン式のカテゴリーに属する。 スライディングピラー 初期の前輪用独立懸架方式の一つ。その名の通り強固に支持された垂直の柱(ピラー)に、上下に長いキングピンを填め、ピラーを軸に車輪と共にステア可能としつつ、スプリング支持でピラーに沿った上下へのストロークをも可能とする。1898年のドコーヴィル・オートモビル(英語版)で既に原型が見られ、1908年のシゼール・ノーダン(英語版)のようなリーフスプリング支持型もあったが、より広く用いられたのは1909年からのモーガンに代表される小型サイクルカーと、ランチア車(1924年の「ラムダ」以降1960年代初頭までのモデル)での、ピラーにコイルスプリングを内蔵したタイプである。操縦性は優れるが、スライディングピラーまわりに強固な支持構造を要し、前輪独立懸架の普及期にはより簡易な他方式も生じていたことから一般化はしなかった。モーガンなどを例外として既に廃れている。 デュボネ フランスの富豪でレーシングドライバー、パイロットでもあったアンドレ・デュボネ(フランス語版、英語版)(André Dubonnet 1897 - 1980)が1927年に考案。キングピンを車台側に固定し、ナックルにスイングアームを取り付けたもの。ばね下重量が小さく、キングピンが動かないため、ジオメトリー変化もないことを特徴とする。しかしキングピンオフセットが大きくなるため、キックバックが強く、キングピン回りの慣性重量も大きくなるなど欠点も少なくなく、また各部の消耗により早くに性能劣化しやすいという致命的な欠点がある。このため1930年代に一時的な採用例が見られた以外には実例が少ない。1934年式シボレーに「ニー・アクション」の名称で採用されたが、耐久性不足を露呈して以後の採用を中止されたことで有名。
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