『精神現象学』における弁証法とは? わかりやすく解説

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『精神現象学』における弁証法

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/02 23:17 UTC 版)

弁証法」の記事における「『精神現象学』における弁証法」の解説

ヘーゲル求めるのは、形式主義操作主義によって獲得される表層的外形的・空虚な個々の「体系知」(science)とは異なる、自然的実在ありのまま本質的規定法則性(つまりは、絶対者真理)の概念的把握である哲学、すなわち「学知」(Wissenschaft)である。そこで、人間精神意識)が、己の性質則って、己にとっての「真・有」と「知」のズレ修正していく自己措定運動(「意識弁証法」「意識経験の学」)を経ながら、どのように「学知」(Wissenschaft)の完成へと到達していくのか、それを順序立てて叙述描写するのが『精神現象学』である。 それは以下のような段階を経る。 意識対象意識感覚的確信 知覚知覚的悟性 自覚自己意識理性 精神精神 宗教 絶対知 矢崎美盛は、こう書いている。 .mw-parser-output .templatequote{overflow:hidden;margin:1em 0;padding:0 40px}.mw-parser-output .templatequote .templatequotecite{line-height:1.5em;text-align:left;padding-left:1.6em;margin-top:0}しばしば、ヘーゲル哲学の方法弁証法であると言われている。そのこと正しい。しかしながら、もしも、ヘーゲルがあらかじめ弁証法という方法形式的に規定しておいて、これを個々対象思考適用するという風に考えるならば、それは由々しき誤解である。ヘーゲルは、おそらく、その全著作何処探しても、方法としての弁証法なるものを、具体的思考から切り離して一般的抽象的に論考したためしはない。彼はただ対象即して考えにすぎない。彼が対象即して対象真理具体的に把握する適するように、自由に考えながら進んでいった過程が、いわば後から顧みて弁証法呼ばるべき連鎖をなしていることが見出されるに過ぎない極言すれば理性的思考いわゆる正反合形態具えているということは抽象的形式的に基礎づけることは出来ない事柄である。そして、いわゆる弁証法的契機例え綜合)の具体性ということも、結局対象内包する理性内容具体性依存するものに外ならないそれ故に、ヘーゲル哲学理解するために、その内容から切り離されいわゆる弁証法だけをとり出して、これを解釈した論考したりすることは、むしろ不必要である。 —矢崎美盛著『ヘーゲル 精神現象論』大思想文庫21岩波書店1936年 高山岩男は、こう書いている。 自覚現象学自己自身意識、即ち自己認識種々の人生経験により考察する現象学である。従って自覚現象学内容人間界である。自然の事物の知識事とする現象でなく人間界に於ける自覚事とする経験である。こゝに於ける知は行って知る知であり、自覚経験は本来的に実践的な生活行動である。前述意識段階は姿を変えて自覚中に内在する。物は知覚的に知られるではなく同時に行動対象としての物である。我は知覚悟性自我ではなく行動する自我である。自覚行動我の自覚である。 —高山岩男著『辨證法入門アテネ文庫53弘文堂1949年

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